ニュースレター
【From New York Office】米国CBPによる強制労働執行運用ガイダンスの公表
塚本宏達、福原あゆみ、近藤亮作、木原慧人アンドリュー(共著)
- 危機管理/リスクマネジメント/コンプライアンス
- 国際通商・経済制裁法・貿易管理
- 海外業務
Publication
※本ニュースレターは情報提供目的で作成されており、法的助言ではありませんのでご留意ください。また、本ニュースレターは発行日(作成日)時点の情報に基づいており、その時点後の情報は反映されておりません。特に、速報の場合には、その性格上、現状の解釈・慣行と異なる場合がありますので、ご留意ください。
ロシアによるウクライナ侵攻の激化・長期化を受けて、各国が対ロシア経済制裁を強化しています。2022年2月28日までに日本及び米国で取られた制裁措置については、当事務所の米国最新法律情報No.69/欧州最新法律情報No.8でご紹介いたしましたが、本ニュースレターでは、その後の日本及び米国における経済制裁措置のアップデートを概説いたします。
本ニュースレターは2022年5月24日時点の情報に基づいており、ロシアに対する経済制裁措置を巡る状況は日々目まぐるしく変動しています。当事務所では、ロシア・ウクライナ危機対応に関する専用のお問い合わせ窓口を設けていますので、最新情報については以下の専用メールアドレスまでお問い合わせください。
ロシア・ウクライナ危機対応 相談窓口:russia-support@noandt.com
ウクライナをめぐる国際情勢について、2022年2月28日以降に外務省、財務省及び経済産業省が外国為替及び外国貿易法(外為法)に基づき実施及び公表した経済制裁の内容はそれぞれ以下のとおりです※1。
外務省告示により、以下(i)及び(ii)の資産凍結等の対象となる「外務省告示により指定された者」が追加されました。
外務省告示により指定された者に対する支払等を許可制とする。
| 当該許可制の根拠 |
外為法16条1項 外国為替令6条1項 令和四年財務省告示第四十六号及び令和四年経済産業省告示第二十五号 |
| 許可制の対象となる取引類型 | 「支払」(法16条1項) |
| 制裁対象者として追加された者(当該措置の対象となる団体には、当該団体により株式の総数又は出資の総額に占める割合の50%を直接に所有されている団体(本邦内に主たる事務所を有する団体を除く)※2を含む。) |
3月1日公布令和四年外務省告示第八十二号、ロシア連邦関係者(6個人)及びロシア連邦の特定銀行(3団体) 3月3日公布令和四年外務省告示第九十一号、ロシア連邦関係者(18個人)、ロシア連邦の特定銀行(4団体)、ベラルーシ共和国の関係者(7個人)、ベラルーシ共和国の関係団体(2団体)、「ドネツク人民共和国」(自称)及び「ルハンスク人民共和国」(自称)の関係者(30個人) 3月8日公布令和四年外務省告示第百四号、ロシア連邦関係者(20個人・2団体)及びベラルーシ共和国関係者(12個人・10団体) 3月11日公布令和四年外務省告示第百八号、ベラルーシ共和国の特定銀行(3団体) 3月15日公布令和四年外務省告示第百十四号、ロシア連邦関係者(17個人) 3月18日公布令和四年外務省告示第百十六号、ロシア連邦関係者(15個人・9団体) 3月25日公布令和四年外務省告示第百三十号、ロシア連邦関係者(25個人) 4月12日公布令和四年外務省告示第百五十七号、ロシア連邦関係者(398個人・28団体) 5月10日公布令和四年外務省告示第百八十二号及び第百八十四号、ロシア連邦関係者(8個人)、「ドネツク人民共和国」(自称)及び「ルハンスク人民共和国」(自称)の関係者(133個人) |
| 許可の主体 | 財務大臣又は経済産業大臣(外国為替令6条2項) |
| 効力発生日 | 各告示公布日。実施日に別段の定めがあるものについても効力発生済み。 |
外務省告示により指定された者との資本取引(預金契約、信託契約及び金銭の貸付契約)等を許可制とする。
| 当該許可制の根拠 |
外為法21条1項、24条1項 外国為替令11条1項、15条1項 令和四年財務省告示第四十七号及び令和四年経済産業省告示第二十六号 |
| 許可制の対象となる取引類型 |
居住者による「預金契約、信託契約及び金銭の貸付契約」(法20条1号、2号) 「居住者による特定資本取引」(一定の特定資本取引を除く)(法24条1項) |
| 制裁対象者として追加された者 | 上記(i)と同じ |
| 許可の主体 | 財務大臣又は経済産業大臣(外国為替令11条3項、15条2項) |
| 効力発生日 | ロシア連邦の特定銀行として4月12日に指定された2団体に対する資産凍結等の措置は令和4年5月12日から実施する。他は効力発生済み。 |
ロシア・ベラルーシ向け輸出について、以下のとおり、輸出の禁止等に関する措置及び法令の整備が進められました。
制裁対象を仕向地とする対象品目の日本からの輸出について政府の承認を必要とし、人道支援の目的等一部の場合を除き原則輸出は承認されない。
| 輸出の承認制及び特定の役務取引(技術提供等)の許可制の根拠 |
外為法第48条3項 外為法第25条6項 輸出貿易管理令2条1項1号の3から1号の7まで 外国為替令18条第3項 令和四年経済産業省告示第四十四号※3 その他上記に関連し整備された政省令等※4 |
| 承認及び許可の対象品目 |
・ロシア及びベラルーシ向け、国際輸出管理レジーム対象品目※5(工作機械、炭素繊維、高性能半導体等)の輸出及び役務取引(技術提供等)(以下、「輸出等」) ・ロシア及びベラルーシの特定の団体(ロシア国防省、ロシアの航空機メーカー等、軍事関連団体)向けの輸出等(令和四年外務省告示第百八十三号により71のロシアの軍事関連団体を追加) ・ロシア及びベラルーシ向け、両国の軍事能力等の強化に資すると考えられる汎用品(半導体、コンピュータ、通信機器等の一般的な汎用品及び関連技術)の両国向け輸出等 ・ロシア向け、石油精製用の装置等の輸出等(5月20日施行の関連政令等により石油精製関連の触媒を追加) ・ウクライナのうち、「ドネツク人民共和国」(自称)及び「ルハンスク人民共和国」(自称)向けの輸出 |
| 承認及び許可の主体 | 経済産業大臣(外為法第48条第3項、外為法25条第6項、外国為替令18条3項) |
| 効力発生日 | 3月18日、71のロシアの軍事関連団体追加は5月17日、石油精製関連の触媒の追加は5月20日 |
ロシア連邦に対する奢侈品の輸出を原則禁止する(奢侈品の輸出について政府の承認を必要とし、原則輸出は承認されない)。
| 輸出禁止の根拠 |
外為法第48条第3項 輸出貿易管理令別表第2の3 外国為替令第8条第1項 財務省告示第八十七号※6 |
| 輸出禁止の対象となる奢侈品 |
(輸出貿易管理令に基づく対象) 酒類、たばこ製品、香水類、化粧品、革製品、毛皮、衣類、履物、帽子、絨毯、宝飾品、陶磁製品、ガラス製品、ダイビング用機器、乗用車、バイク、ノートパソコン、時計(貴金属を使用したもの)、グランドピアノ、美術品、骨とう品 (財務省告示に基づく輸出禁止) 紙幣、金貨、金の地金 |
| 承認の主体 |
経済産業大臣(外為法第48条第3項) 財務大臣(外国為替令第8条第1項) |
| 効力発生日 | 4月5日 |
財務省告示により、令和4年5月12日以後に開始される日本の居住者によるロシア連邦向けの新規の対外直接投資(10%以上の持分取得等)を許可制とする。
| 当該許可制の根拠 |
外為法21条1項、24条1項 外国為替令11条1項、15条1項 令和四年財務省告示百二十二号及び令和四年経済産業省告示第九十八号※7 |
| 許可制の対象となる取引類型 | 外為法第二十条第二号、第五号又は第十一号に規定する資本取引のうち(外為法21条1項)又は居住者による特定資本取引のうち(外為法24条1項)、居住者による対外直接投資(法第二十三条第二項に規定する対外直接投資をいう。)に該当するものであって、ロシア連邦において行われる事業に係るもの又はロシア連邦の法令に基づいて設立された法人(当該法人の外国(ロシア連邦を除く。以下この号において同じ。)にある支店、出張所その他の事務所を含む。)若しくは当該法人に実質的に支配されている法人により外国において行われる事業に係るもの |
| 許可の主体 |
財務大臣(外為法21条1項、外国為替令11条1項) 経済産業大臣(外為法24条1項、外国為替令15条1項) |
| 効力発生日 | 5月12日 |
経済産業省告示で定める特定の貨物のロシア連邦からの輸入を承認制とする。
施行前に契約した分については、施行後3ヶ月間は輸入を認める猶予措置を講じる。無償で輸出するために無償で輸入する貨物及び個人的使用に供せられ、かつ、売買の対象とならない程度の量の貨物については、本措置の対象外となる。本措置について、少額特例は適用されず、金額にかかわらず輸入禁止となる。
| 輸入の承認制の根拠 |
外為法52条 輸入貿易管理令3条及び4条 令和四年経済産業省告示第九十七号※8 |
|
対象品目 (数字は関税率表の番号) |
1 アルコール飲料 22.03, 22.04, 22.05, 22.06, 2207.10, 22.08(6品目) 2 木材(チップ、丸太及び単板) 4401.21, 4401.22, 44.03, 44.08(4品目) 3 機械類・電気機械 84.07, 84.09, 84.12, 84.13, 84.14, 84.15, 84.18, 84.19, 84.21, 84.22, 84.24, 84.28, 84.31, 84.43, 84.50, 84.62, 84.66, 84.71, 84.73, 84.77, 84.79, 84.81, 84.82, 84.83, 87.03, 87.08, 87.11, 87.14(28品目) |
| 承認の主体 | 経済産業大臣(外為法第52条、輸入貿易管理令3条及び4条) |
| 効力発生日 | 4月19日 |
ロシア連邦を仕向地とする先端的な物品等の輸出について、以下のとおり、輸出の禁止等に関する措置及び法令の整備が進められました。
輸出貿易管理令で定める特定の貨物のロシア連邦を仕向地とする輸出を許可制とする。
ロシアに対し規制対象技術を提供する役務取引について、役務告示の施行日(令和4年5月20日0時)時点でその取引が既に開始されている場合は、新たに外為法25条第6項に基づく許可を受ける義務はない。
新聞、書籍、雑誌、カタログ、電気通信ネットワーク上のファイル等により、既に不特定多数の者に対して公開されている技術(公知の技術)を提供する役務取引については、ロシア・ベラルーシ向け輸出禁止措置の規制対象技術であっても、許可を受ける義務はない。
| 輸出の許可制の根拠 |
外為法48条3項 外為法25条6項 輸出貿易管理令2条1項1号の3及び1号の6 外国為替令18条第3項 令和四年経済産業省告示第百二十五号 その他上記に関連し整備された政省令等※9 |
| 対象品目(関連技術を含む) |
・石油精製用の触媒 ・量子計算機その他の量子の特性を利用した装置及びその附属装置並びにこれらの部分品 ・電子顕微鏡、原子間力顕微鏡その他の顕微鏡及びこれらの顕微鏡とともに使用するように設計した装置 ・積層造形用の装置(3Dプリンター)並びにこれに用いられる粉末状の金属及び金属合金 ・有機発光ダイオード、有機電界効果トランジスター及び有機太陽電池の製造用の装置 ・微小な電気機械システムの製造用の装置 ・水素(太陽光、風力その他の再生可能エネルギーを利用して製造するものに限る。)を原料とする燃料及び変換効率の高い太陽電池の製造用の装置 ・真空ポンプ及び真空計(量子技術関連) ・極低温用に設計した冷却装置及びその附属装置並びにこれらの部分品(量子技術関連) ・集積回路から蓋及び封止材料を除去するための装置 ・量子収率の高い光検出器(量子技術関連) ・工作機械及びその部分品並びに工作機械用の数値制御装置 ・電磁波による探知を困難にする機能を向上させる材料(メタマテリアル)、ほぼ等しい割合の複数の元素で構成された合金(高エントロピー合金)その他の先端的な材料(一部は量子技術関連) ・導電性高分子、半導電性高分子及び電界発光の性質を有する高分子 |
| 承認の主体 | 経済産業大臣(外為法48条第3項、外為法25条第6項、外国為替令18条3項) |
| 効力発生日 | 5月20日 |
米国では、2022年2月28日までの間にも既にロシアに対する広範囲な制裁が発表されていましたが、ロシアによるウクライナ侵攻の激化及びロシアによるウクライナ民間人の大量虐殺等を受けて、さらなる制裁が相次いで発表されました。以下に述べる制裁措置のほか、米国人による取引が禁止されるSDN(Specially Designated Nationals and Blocked Persons)リストについても、ロシアの金融機関、ロシア政府関係者、ロシア企業等が次々とSDNリストに追加されており、また、輸出管理規則(Export Administration Regulations、EAR)の改正によりロシアに対する輸出規制が強化されています。
OFACは、2022年2月28日、大統領令14024に基づくDirective 4を発表しました。Directive 4により、米国人による、ロシア中央銀行(Central Bank of the Russian Federation)、国民福祉基金(the National Wealth Fund of the Russian Federation)及びロシア財務省(the Ministry of Finance of the Russian Federation)に関する全ての取引(資産の移転や為替取引を含む)が禁止されています。なお、Directive 4においては、Directive 4の対象となる者が50%以上の持分を保有する者との取引は禁止されていません※11。
2022年3月8日に出された大統領令(Executive Order)14066により、以下の行為が禁止されました。
①の「ロシア原産」の意味については、ロシアで生産、製造、採掘又は加工されたものを指し、外国製品に組み込まれる又は外国製品に実質的に転換されたものは除くとされています※13。又、制裁対象者との取引又はその他禁止される取引でない限り、非米国人が米国外でロシア原産の原油等の輸入を継続しても、本制裁の対象となるものではありません※14。なお、②については、現状、後述する大統領令14071において、エナジーセクターに限らず、米国人による全てのロシアへの新規投資が禁止されています。
2022年3月11日に出された大統領令14068により、以下の行為が禁止されました。
②については、これを具体化する輸出管理規則の改正がなされています※16。これにより、ロシア及びベラルーシに対する奢侈品の輸出等(エンドユーザーやエンドユーズを問わない)、並びにSDNリストに掲載されたロシア及びベラルーシ関係者に対する奢侈品の輸出等について米国商務省の許可が必要とされ、人道上の理由など限定的な例外に該当する場合を除いて許可申請は却下される(policy of denial)ものとされています。対象となる奢侈品には、一定の蒸留酒、たばこ製品、被服、ダイヤモンド、車両などが含まれます。③については、(2)で述べたとおり、大統領令14071において全てのロシアへの新規投資が禁止されています。
2022年4月6日に出された大統領令により、以下の行為が禁止されました。
①については、本大統領令において何が「投資」に該当するのかOFACから見解は出されていませんが、エナジーセクターへの新規投資を禁じる大統領令14066においては、資金その他の資産のコミットメント又は拠出、貸付又はその他の与信供与(オーバードラフト、為替スワップ、債務証券の購入、他人によるローンの購入、再購入合意付きの金融資産の販売、債務者又は受領者に資金又は信用が移転又は提供される更新又はリファイナンス、スタンドバイ信用状の発行、既存のクレジットラインからの引き出しを含む)を構成する取引が含まれるものとされていました※18。②については、2022年5月8日付けでOFACが出した決定※19により、会計、信託、会社設立、マネジメントコンサルティングが本大統領令の対象となるカテゴリーのサービスとして指定され、2022年6月7日から指定の効力が生じるものとされています(なお、米国人によって直接又は間接に保有又はコントロールされるロシア所在のエンティティに対するサービス、ロシア人によって直接又は間接に保有又はコントロールされるのではないロシア所在のエンティティの解散又は処分に伴うサービスはこの指定に含まれないものとされています)。更に、OFACはこれらのカテゴリーを定義するための規則を発表する予定であり、以下の内容が含まれる予定とされています※20。
※1
外為法上の経済制裁の枠組みについては、米国最新法律情報2022年3月No.69、欧州最新法律情報2022年3月No.8をご参照ください。
※2
外務省告示第百八号
※3
許可制を実施するためには、許可を受けなければならない役務取引等をあらかじめ告示によって指定する必要があり(外国為替令18条1項)、そのため、当該告示として令和四年経済産業省告示第四十四号が公布されている。
※5
国際管理レジームの対象品目の輸出及び役務の提供については、既に行政実務が厳格化されていましたが、今般法令の改正及び関連する省令等が整備されています。
※6
許可制を実施するためには、許可を受けなければならない支払手段等の輸出又は輸入をあらかじめ告示によって指定する必要があり(外国為替令8条1項)、そのため、当該告示として令和四年財務省告示八十七号が公布されています。
※7
許可制を実施するためには、許可を受けなければならない資本取引をあらかじめ告示によって指定する必要があり(外国為替令11条1項、15条1項)、そのため、当該告示として令和四年財務省告示百二十二号及び令和四年経済産業省告示第九十八号が公布されています。
※8
輸入貿易管理令3条1項に基づき、輸入にあたって承認を受ける貨物の原産地又は船積地域その他貨物の輸入について必要な事項が令和四年経済産業省告示第九十七号で規定されています。
※9
※11
OFAC(Office of Foreign Assets Control)のFAQ1001
(https://home.treasury.gov/policy-issues/financial-sanctions/faqs/1001)
※13
OFACのFAQ1019(https://home.treasury.gov/policy-issues/financial-sanctions/faqs/1019)
※14
OFACのFAQ1018(https://home.treasury.gov/policy-issues/financial-sanctions/faqs/1018)
※18
OFACのFAQ1019(https://home.treasury.gov/policy-issues/financial-sanctions/faqs/1019)
※20
OFACのFAQ1034(https://home.treasury.gov/policy-issues/financial-sanctions/faqs/1034)
本ニュースレターは、各位のご参考のために一般的な情報を簡潔に提供することを目的としたものであり、当事務所の法的アドバイスを構成するものではありません。また見解に亘る部分は執筆者の個人的見解であり当事務所の見解ではありません。一般的情報としての性質上、法令の条文や出典の引用を意図的に省略している場合があります。個別具体的事案に係る問題については、必ず弁護士にご相談ください。
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