ニュースレター
【From New York Office】米国CBPによる強制労働執行運用ガイダンスの公表
塚本宏達、福原あゆみ、近藤亮作、木原慧人アンドリュー(共著)
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経済安全保障
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CFIUS審査に関する新たな大統領令及びガイドラインの対米投資に与える影響(2022年11月)
CFIUSの活動に関する年次報告書(2023年度)の公表(2024年10月)
CFIUSの調査・法執行権限を強化する最終規則の公表(2024年12月)
※本ニュースレターは情報提供目的で作成されており、法的助言ではありませんのでご留意ください。また、本ニュースレターは発行日(作成日)時点の情報に基づいており、その時点後の情報は反映されておりません。特に、速報の場合には、その性格上、現状の解釈・慣行と異なる場合がありますので、ご留意ください。
2024年4月11日、米国財務省は、対米外国投資委員会(Committee on Foreign Investment in the United States、以下「CFIUS」といいます。)の調査及び法執行権限を強化する規則案(Notice of Proposed Rulemaking、以下「本規則案」といいます。)※1を公表しました。
CFIUSの審査については、2022年9月15日にCFIUSによる審査において重点的に考慮すべき事項を定めた大統領令(Executive Order on Ensuring Robust Consideration of Evolving National Security Risks by the Committee on Foreign Investment in the United States)が公布され、また、同年10月20日には、CFIUSの法執行と罰則に関するガイドライン(CFIUS Enforcement and Penalty Guidelines)も公布され、一定の手続的進展が図られてきました※2。今般公表された本規則案は、CFIUS届出の要件を変更するものではありませんが、大統領令及びガイドラインの公布以後の実務や、CFIUSによるモニタリング、コンプライアンス及び法執行に関する関心の高まりを反映したものであり、今後のCFIUSの審査やCFIUSによる法執行に一定の影響を与えることが見込まれます。本規則案は、現在パブリックコメントにかけられており、パブリックコメントを経て今後最終化され、公布される見込みです。
以下では、本規則案の主なポイントについてご紹介します。
本規則案では、CFIUSへの届出がなされなかった取引について、CFIUSが取引当事者に対して要請できる情報の範囲が拡大されています。
現在の規則では、CFIUSには、CFIUSの管轄権の対象となる取引に該当するか否かを判断するための情報を取引当事者等に請求する権利が認められています。本規則案では、これに加えて、(CFIUSの管轄権の対象となる取引のうち)CFIUSへの届出が義務づけられる取引に該当するか否か、及び、取引が国家安全保障上の懸念を生じさせるものであるかの判断に必要な情報を、CFIUSの要請に応じて提供することが取引当事者等に義務づけられることになりました。このような情報は、届出がなされなかった取引について調査を行う場合にこれまでもCFIUSが要請していた情報ですが、今後はより広範な情報がCFIUSから求められる可能性があります。
また、CFIUSが、(i)影響緩和措置に関する法執行及びモニタリングのための情報収集並びに(ii)当事者がCFIUSに提供した情報に重大な不備や虚偽がないかを判断するための情報収集において、取引当事者等に情報提供を義務づけることができることも明示されました。現在の規制では、CFIUSがこのような場合において情報提供を求めることができるとされているものの、情報提供要請を受けた者に回答義務があるか否かは明示されていなかったため、この点に対応したものです。
加えて、CFIUSによる召喚(subpoena)権限も拡大されています。現状の規制では、CFIUSによる召喚権限は、CFIUSが召喚権限の行使を必要と考える場合において行使できるものとされていましたが、本規則案では、CFIUSが召喚権限の行使を適切と考える場合において行使できるものとされ、CFIUSの裁量の余地が拡大されました。
CFIUSが国家安全保障上のリスクがあると判断した場合、CFIUSは取引当事者に対して影響緩和措置を講ずることを求めることができますが、現在の規制では、CFIUSによる影響緩和措置の提案に対する取引当事者の回答期限は定められておらず、取引当事者の回答に時間がかかることもありました。影響緩和措置等の合意を含めてCFIUSの審査を法定期間(45日)で終えることができるように審査を迅速に進める観点から、本規則案では、取引当事者はCFIUSによる影響緩和措置の提案から3営業日以内に実質的な回答(CFIUSから提案のあった条件を受諾する、反対提案をする、あるいは提案のあった条件に従うことのできない理由の詳細な説明など)をすることを義務づけられることが定められています。CFIUSがかかる期限を延長することも可能とされていますが、影響緩和措置が実務的な観点から受け入れ可能かの検討や、取引当事者間での調整等を3営業日で行うことは困難な場合が多いと考えられ、取引当事者としては、事前に影響緩和措置が求められる可能性及びどのような影響緩和措置であれば受け入れ可能かを検討しておくことがより重要になると考えられます。
現在の規則では、CFIUSに提供した情報に重大な虚偽や不備があった場合において罰金が科されるのは、届出等に記載の情報に限定されていました。本規則案では、そのような場合に限らず、届出がなされずCFIUSからの要請に従って情報が提供された場合や、取引当事者ではない第三者として情報提供が行われる場合に、CFIUSに提供した情報に重大な虚偽や不備があった場合も罰金の対象としています。
現在の規則では、CFIUSへの届出が義務づけられる取引について適時に届出がなされなかった場合及び影響緩和措置の違反の場合、最大の罰金額は、$250,000又は取引金額のいずれか高い方の金額とされています。本規則案では、上記の$250,000の基準が$5,000,000へと増額されるとともに、影響緩和措置の違反の場合には、違反者の米国事業の価値も最大の罰金額において考慮されることになり、①$5,000,000、②取引金額又は③米国事業の価値のいずれか最も高いものの金額が罰金の最大額となります。CFIUSに提出した情報に重大な虚偽や不備があった場合の違反(取引当事者でなく第三者として情報提供した場合も含まれます。)についても、最大の罰金額が$250,000から$5,000,000へと増額されます。
現在の規則では、罰金の通知を受けた者は、通知の受領から15営業日が経過するまでの期間異議申立てをすることができるものとされ、CFIUSは、異議申立てから15営業日が経過するまでに異議申立てを審査し、最終の決定を下すものとされています。本規則案では、いずれの期間も15営業日から20営業日へ伸長しています。
これまでもCFIUSは規則の執行を強化する姿勢を示してきており、本規則案はこのようなCFIUSの姿勢に沿うものとなっています。今後も、CFIUSは届出がなされていない取引の摘発や影響緩和措置のモニタリングを一層強化することが予想され、取引当事者としてはCFIUSリスクへの対応をより慎重に行うべきといえます。
※1
本規則案に関する米国財務省のプレスリリースは、https://home.treasury.gov/news/press-releases/jy2246、本規則案の全文は、https://www.govinfo.gov/content/pkg/FR-2024-04-15/pdf/2024-07693.pdf又はhttps://www.federalregister.gov/d/2024-07693をご参照ください。
※2
この大統領令及びガイドラインの内容については、当事務所発行の米国最新法律情報No.81「CFIUS審査に関する新たな大統領令及びガイドラインの対米投資に与える影響」(2022年11月)をご参照ください。
本ニュースレターは、各位のご参考のために一般的な情報を簡潔に提供することを目的としたものであり、当事務所の法的アドバイスを構成するものではありません。また見解に亘る部分は執筆者の個人的見解であり当事務所の見解ではありません。一般的情報としての性質上、法令の条文や出典の引用を意図的に省略している場合があります。個別具体的事案に係る問題については、必ず弁護士にご相談ください。
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