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最新判例アンテナ 第89回 サーバを日本国外に設置・管理しているネットワーク型システムについて,日本国内における「生産」該当性を肯定し,日本における特許権侵害の成立を肯定した事例(最二小判令7.3.3裁判所ウェブサイト)
(2025年10月)
三笘裕、江坂仁志(共著)
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※本ニュースレターは情報提供目的で作成されており、法的助言ではありませんのでご留意ください。また、本ニュースレターは発行日(作成日)時点の情報に基づいており、その時点後の情報は反映されておりません。特に、速報の場合には、その性格上、現状の解釈・慣行と異なる場合がありますので、ご留意ください。
標準必須特許(Standard Essential Patent。以下「SEP」といいます。)については、世界各国で紛争が発生しており、米国や欧州(特に、英国やドイツ)、中国において多くの裁判例が蓄積されてきました。他方で、日本においては、平成26年のサムスン対アップル事件において、知的財産高等裁判所(知財高裁)が、FRAND(Fair, Reasonable and Non-Discriminatory(公正かつ合理的で非差別的な))宣言されたSEPに係る特許権に基づく差止請求権の行使が権利濫用に当たるかについての判断を行いました※1。もっとも、同事件の知財高裁決定・判決以降、平成30年に特許庁「標準必須特許のライセンス交渉に関する手引き」が、そして、令和4年6月には同手引きの第2版が出され※2、また、令和4年3月31日には経済産業省「標準必須特許のライセンスに関する誠実交渉指針」※3が出されるなど、SEPに関する活発な議論が行われてきたものの、特許権侵害訴訟で、FRAND宣言されたSEPに係る特許権に基づく差止請求権の制限について判断した裁判例がほとんどなく、差止請求を認容した裁判例はありませんでした。
このような状況の下、東京地方裁判所(東京地裁)は、令和7年6月23日、FRAND宣言されたSEPに係る特許権に基づく差止請求を認容する旨の判決を言い渡しました(東京地裁令和7年6月23日判決(令和5年(ワ)第70501号)※4。以下「東京地裁判決」といいます。)。また、大阪地方裁判所(大阪地裁)は、令和7年7月10日、東京地裁判決と同一の当事者間で、同一の特許権に基づき、東京地裁判決の対象製品と同じ製品シリーズでバージョン違いの製品に対する差止請求訴訟において、共通のライセンス交渉の経緯等に基づき、請求を棄却する旨の判決を言い渡しました(大阪地裁令和7年7月10日判決(令和5年(ワ)第7855号)※5。以下「大阪地裁判決」といいます。)。東京地裁判決は、日本において初めてFRAND宣言されたSEPに係る特許権に基づく差止請求を認容した判決であり、国内外から大いに注目を集めています。また、大阪地裁判決は、東京地裁判決とライセンス交渉の経緯等が共通しており、しかも同一の特許権に基づく差止請求にもかかわらず、いわゆるFRANDの抗弁を認めて、当該請求を棄却した判決であり、両判決とも、今後のSEPについてのライセンス交渉について参考になる判決といえます。そこで、本ニュースレターでは、東京地裁判決及び大阪地裁判決の内容を紹介するとともに※6、その意義について説明いたします。
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