重要土地等調査法※2
重要土地等調査法第13条は、特別注視区域※3内にある土地等に関する所有権又はその取得を目的とする権利の移転又は設定をする契約(予約を含む。)を締結する場合、当事者は、内閣総理大臣に一定の事項を届け出ることが必要となると定めている。
現行法においては、当該土地等の譲受け予定者等の国籍等(法人の場合においては設立準拠法国)を届け出ることが必要であり、譲受け予定者等が法人である場合においては、(i)日本の国籍を有しない人、(ii)外国政府、外国の公共団体(以下「外国政府等」という。)若しくはこれに準ずるもの又はそれらの代表者、(iii)外国の法令に基づいて設立された法人が代表者である場合又は当該譲受け予定者等の役員の過半数若しくは議決権の過半数を占める場合には、それらも届出事項とされている(重要土地等調査法施行規則※4第5条第1項第1号、第2号)。
今般、重要土地等調査法施行規則第5条第1項第2号が改正され、譲受け予定者等が法人である場合においては、以下の事項も届出が必要となることとされている。
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届出事項
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法人の代表者
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以下の者が代表者である場合、当該代表者の国籍等及び氏名
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日本国籍を有しない人
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外国政府等又はそれらの代表者
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外国の法令に基づいて設立された法人
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法人の役員
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以下の者が法人の役員の過半数を占める場合、当該役員の国籍等
同一の国籍を有する
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日本国籍を有しない人
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外国政府等の代表者
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法人の株主
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以下の者が法人の議決権の過半数を占める場合、当該者の国籍等
同一の国籍を有する
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日本国籍を有しない人
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外国政府等又はそれらの代表者
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外国の法令に基づいて設立された法人
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重要土地等調査法施行規則の改正内閣府令は、2026年1月30日に公布予定であり、同年4月1日から施行される予定である。
森林法
1. 森林の土地の所有者変更時の届出書の様式
森林法上、地域森林計画の対象となっている民有林※5について、新たに当該森林の土地の所有者となった者は、市町村長にその旨を届け出る必要がある(森林法第10条の7の2第1項)。かかる届出については、森林法施行規則の規定に基づき、申請書等の様式を定める件(昭和37年農林省告示第851号)において様式が定められているところ、現在の様式では、新所有者の住所、氏名及び電話番号を記載することとされている。かかる告示が改正され、新様式においては、(i)新所有者の国籍等、(ii)新所有者が法人の場合においては、①代表者の氏名及び国籍等、②当該法人の役員等の国籍等、③当該法人の議決権の過半数を有する者の国籍等、(iii)住所が国外の場合においては国内の連絡先が届出事項となる予定である。また、関連して、森林の土地の用途が新たな届出事項とされている。
告示の改正は、2026年4月1日から施行される予定である。
2. 林地台帳の記載事項の改正
市町村は、その所掌事務を的確に行うため、地域森林計画の対象である民有林の土地ごとに林地台帳を作成することとされているところ(森林法第191条の4第1項)、現行法上、土地所有者の氏名及び住所等を記載することとされているが、所有者の国籍等は記載事項となっていない。今般、森林法施行規則第104条の2の改正が予定されており、林地台帳の記載事項として、新たに、(i)土地所有者の国籍等、(ii)土地所有者が法人の場合においては、①代表者の氏名及び国籍等、②同一の国籍等を有する者が当該法人の役員等の過半数である場合には、当該国籍等、③同一の国籍等を有する者が当該法人の議決権の過半数を有する場合においては、当該国籍等が記載事項となる。
森林法施行規則の改正は、2027年4月1日から施行される予定である。
不動産登記法
2026年4月1日以降、改正不動産登記法が施行されると、所有権の登記名義人の氏名・名称又は住所に変更があった場合、当該所有権の登記名義人は、その変更があった日から2年以内に、氏名・名称又は住所についての変更登記を申請することが義務付けられ、正当な理由がないにもかかわらずその申請を怠った者は5万円以下の過料に処されることとなる(不動産登記法第76条の5、同法第164条第2項)。また、登記官は、登記義務軽減の観点から、所有権の登記名義人の氏名・名称又は住所に変更があった場合においては、職権で変更登記を行うことができることとなる(同法第76条の6)。これらの改正に関連して、所有権の保存登記や移転登記等を申請する場合には、所有権の登記名義人となる者が国内に住所を有するときは、登記申請人は、登記官に対し、当該所有権の登記名義人となる者についての検索用情報として、氏名、住所、出生の年月日等を申請情報の内容として申し出ることとされた(不動産登記規則第158条の39第1項)。法務大臣は、登記名義人(自然人に限る。)に係る検索用情報を記録する検索用情報管理ファイルを備えるものとされている(同規則第158条の38第1項)。
今般不動産登記規則も改正される予定であり、登記申請人は、国内に住所を有するか否かにかかわらず、国籍を検索用情報として申し出ることが必要となり、登記名義人に係る国籍は、検索用情報管理ファイルに記録されることとなる。
かかる不動産登記規則の改正については、システム改修を要することから現時点で改正法の施行期日は明示されておらず、2026年度早期に施行される予定とされている。
国土利用計画法
国土利用計画法上、以下の場合を除き、土地に関する所有権、地上権若しくは賃借権又はこれらの権利の取得を目的とする権利(以下「土地に関する権利」という。)の移転又は設定(対価を得て行われる移転又は設定に限る。)をする契約(第14条第1項、国土利用計画法施行令第5条)を締結した場合には、土地に関する権利の取得者は、契約締結日から2週間以内に、当事者の氏名・住所(法人の場合にはその代表者の氏名)、契約締結日、土地の所在地及び面積、権利の種別等を、都道府県知事に届け出ることとされている(同法第23条)。
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届出対象外の場合
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市街化区域における2,000㎡未満の土地の売買等
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市街化区域以外の都市計画区域における5,000㎡未満の土地の売買等
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上記以外の区域における10,000㎡未満の土地の売買等
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国土利用計画法上の規制区域、注視区域又は監視区域に所在する土地の売買等
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現行法上、権利取得者の国籍等も届出事項とされているが(国土利用計画法施行規則第19条の3第1号)、権利取得者が法人である場合においては、新たに(i)代表者の国籍等、(ii)同一の国籍等を有する者が当該法人の役員等の過半数である場合には、当該国籍等、(iii)同一の国籍等を有する者が当該法人の議決権の過半数を有する場合においては、当該国籍等も届出事項とされることが予定されている(改正後の第19条の3第2号)。
国土利用計画法施行規則の改正も2026年4月1日から施行される予定である。
農地法
農地については、2023年に成立した国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律により、構造改革特別区域法が改正され、構造改革特別区域内の農地等については、農地所有適格法人以外の法人(以下「特定法人」という。)による取得が認められたものの(構造改革特別区域法第24条)、同改正法案に対する附帯決議において、「特定法人による農地取得事業に係る構造改革特別区域計画の認定に当たっては、役員等の国籍、農地の利用目的、資本構成等の事項について確認することとし、認定後においても、これらの事項を毎年確認するよう地方公共団体を指導すること」とされていた。
かかる附帯決議を踏まえ、農地法については、2023年9月1日に農地法施行規則が改正され、農地を取得する者については、その国籍等を許可申請書に記載することが求められている(農地法第3条第1項、農地法施行令第1条、農地法施行規則第11条第1項第6号)。また、農地を取得する者が法人である場合においては、その総株主の議決権の5%以上を有する株主又は出資の総額の5%以上相当の出資を行っている者の氏名、住所及び国籍等(法人である場合においては、設立準拠法国)を記載することが必要である(同項第7号)。
最後に
関連法令の改正に加え、デジタル庁においては、不動産ベース・レジストリの整備が行われており、土地・建物に関する基本情報を一元的に管理・提供するデータベースが運用される予定であり、不動産取引に関する情報の整理も進められている。
脚注一覧
※2
重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律(令和3年法律第84号)
※4
重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律施行規則(令和4年内閣府令第56号)
※5
国が森林所有者である森林及び国有林野の管理経営に関する法律第10条第1号に規定する分収林である森林以外の森林をいう(森林法第2条第2項及び第3項)。