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プロジェクト・ファイナンスにおける債権譲渡の実務的課題と譲渡担保法下及び同法施行前の実務に関する覚書

著者等
村治能宗
出版社
長島・大野・常松法律事務所
書籍名・掲載誌
NO&T Infrastructure, Energy & Environment Legal Update ~インフラ・エネルギー・環境ニュースレター~ No.53(2025年12月)
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※本ニュースレターは情報提供目的で作成されており、法的助言ではありませんのでご留意ください。また、本ニュースレターは発行日(作成日)時点の情報に基づいており、その時点後の情報は反映されておりません。特に、速報の場合には、その性格上、現状の解釈・慣行と異なる場合がありますので、ご留意ください。

はじめに

 プロジェクト・ファイナンスは、他のファイナンスと比較して長期の与信となることが多く、期中において様々な理由により貸付債権の譲渡がなされることがある。かかる場面の一つとして、プロジェクトに生じた問題の是正策や収益性向上に向けたリストラクチャリングに関するレンダー間の見方に違いが生じるケースが挙げられる。スポンサーのメインバンクをはじめとする大半のレンダーは好意的である中、一部のレンダーが、自らの保有する貸付債権を譲渡したうえで当該プロジェクトからの離脱を望むような場合である。そのような場面においては、残存するレンダーの間においても、その後の与信継続をどの程度慎重視するかは一様でない可能性がある。したがって、かような状況下における貸付債権の譲渡において必要となる、譲渡を行うレンダー以外のレンダーが協力すべき事項は最低限のものに止まることが望ましい。

 本稿では、プロジェクト・ファイナンスにおける貸付債権の譲渡に係る論点のうちやや特殊な要素を含む動産譲渡担保権の移転に関する現行実務、及び、本年6月6日に公布された「譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律」(「譲渡担保法」)※1※2の下で想定される新たな実務とそれに備えて同法施行※3前に行っておくことの考えられる事項を記載したい※4

1. プロジェクト・ファイナンスと集合動産譲渡担保権

 動産譲渡担保権は、担保権設定者における動産の使用収益を可能としたままでこれを担保に供することを可能とする手段として実務上広く用いられている。プロジェクト・ファイナンスにおいては全資産担保が原則とされるが※5、プロジェクトに関する様々な動産を対象とする担保として、動産譲渡担保権が利用される。バイオマス発電プロジェクトにおけるPKS、木質ペレットといった燃料はその典型であるが、昨今では、プロジェクトの主要な設備に対して動産譲渡担保権の設定がなされることが多い。例えば、太陽光発電設備についてみると、全資産担保の要請を直接的に達成する方法として、かつては工場抵当法に基づく工場財団抵当権が用いられることが多かったが、太陽光発電設備を構成する物品は基本的に動産であり、仮にその一部が土地の定着物として土地の一部となったとしても(民法86条1項参照)、土地に関する権利にもあわせて担保権(抵当権、賃借権質権等)を設定すれば、結局のところそれについても担保対象に含めることができるとの整理により、工場財団組成の手間を省くため、動産譲渡担保権と土地関連の担保権との組み合わせをもって工場財団抵当権に代える実務が一般化している。特に、修理、交換等に伴う個別の動産の入替わりにも対応できるよう、集合動産譲渡担保権が広く利用される。

 ところで、プロジェクト・ファイナンスに限らず、我が国シンジケートローンにおける担保権はいわゆる個別同順位方式により設定されるのが一般的であるが※6、譲渡担保権については、法的に「譲渡」の形式をとるため、一物一権主義のために個別同順位方式をとることができないのではないかとの疑義があるとされ、準共有方式がとられるのが通常である※7。また、プロジェクト・ファイナンスにおいては予測キャッシュフローの確実性が最も重要であるため※8、金利ヘッジ取引等が利用されることが一般的であり※9、これらに係る債権も被担保債権の範囲に含めるかたちで※10、根譲渡担保権が利用されることが多く、以下では主としてこれ(すなわち、「集合」動産「根」譲渡担保権)を前提とする。

2. 準共有方式において設定された集合動産根譲渡担保権と債権譲渡

(1) 普通担保権が、被担保債権の移転に随伴して譲受人に移転するのに対し、そもそも確定前の根担保権は被担保債権の移転に随伴しない(民法398条の7第1項参照)ため、被担保債権を根担保権により担保されたままの状態で譲渡するためには、根担保権自体の全部又は一部の譲渡が必要となる。さらに、準共有方式により設定された根担保権の被担保債権の移転については別の考慮を要する。準共有方式の集合動産根譲渡担保権が設定された状況の下、その被担保債権に含まれる、あるレンダー(譲渡側貸付人)の貸付債権が第三者(譲受側貸付人)に譲渡される場合、譲渡担保権について原則として抵当権及び根抵当権とパラレルな取扱いが妥当するという現在の実務に従った場合、次のようになると考えられる。

  1. 貸付債権全部の譲渡の場合
    根抵当権についての民法398条の14第2項に準じて、譲渡側貸付人と譲受側貸付人との合意に加え、担保権設定者である借入人及び他の全ての準共有根譲渡担保権者の同意をもって行うことが可能と考えられる。
  2. 貸付債権の一部譲渡の場合
    この場合について直接規定した民法の条文はなく、担保権設定者の承諾を得るほか、解釈上、譲渡側貸付人を含む全ての準共有根譲渡担保権者が「一体として」譲渡人となる必要があると考えられる。

(2) 以上の方法により集合動産根譲渡担保権について実体法上必要な権利移転がなされたとして、次に問題となるのは、対抗要件である。前提として、現在の実務上、集合動産根渡担保権の設定に関しては、占有改定による引渡しと、「動産及び債権の譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律」(「動産・債権譲渡特例法」)に基づく動産譲渡登記とが併用されている。動産譲渡登記が用いられるのは、動産自体が担保権設定者の下に置かれることによる、即時取得リスクを考慮してのことである※11

 準共有方式により集合動産根譲渡担保権が設定されるケースで、その被担保債権の範囲に含まれる貸付債権の譲渡が行われた場合、譲受側貸付人は、とりわけ担保権設定者に法的倒産手続が開始されたときの担保権実行時において、自らが準共有根譲渡担保権者である旨を管財人等に主張する等の目的上、自らの準共有根譲渡担保権の取得について、対抗要件を具備する必要がある。ところが、とりわけ動産譲渡登記の側からみたとき、そのための手続は明確でない。具体的には以下のとおりである。

  1. 貸付債権全部の譲渡の場合
    既存レンダーかつ準共有根譲渡担保権者をA、B及びCとし、このうちCがAにその保有する貸付債権全部を譲渡するケースを考える※12。実体法上の手続は、上記(1)a.のとおりである。この場合に考えられる登記手続の選択肢としては、例えば以下などがあり得るが、それぞれ記載するような問題点がある。

    1. 何も行わない(Aは元々登記上の譲受人に含まれるため)

      【問題点】
      借入人に法的倒産手続が開始された場合における管財人等から、Aが譲り受けた部分について対抗要件が具備されていないと主張されるリスクがある。
    2. CからAへの譲渡登記を実行する(準共有持分の移転である旨を動産譲渡登記における備考欄に記載する。)

      【問題点】
      上記(1)a.の実体法上の権利変動と合致しない。
    3. ABCからACへの譲渡登記を行う

      【問題点】
      譲渡人を複数とする動産譲渡登記も可能であり、準共有譲渡担保権者それぞれを譲渡人とし、備考欄に準共有の旨を記載する方法は考えられる※13。検討に値するが、かかる方法により、動産根譲渡担保権の準共有持分の移転に係る対抗要件としての有効性が認められるかについては、判例等もなく、下記⑤の方法と比較して、なお不確実性が残る。
    4. 既存の動産譲渡登記を抹消し、直接借入人からABへの動産譲渡登記を行う

      【問題点】
      借入人から集合動産根譲渡担保権の設定を受けたのはあくまでもA、B及びCであるため、新たな動産譲渡登記は実体に合致しない(動産譲渡登記は現状の権利関係の公示を目的とするものではなく、譲渡の事実の公示を目的とするものであるため)。
    5. 集合動産根譲渡担保権を再設定する
      後述の否認権行使※14等のリスクがある点を除けば法的なハードルは特にない。
  2. 貸付債権の一部譲渡の場合
    既存レンダーかつ準共有根譲渡担保権者をA及びBとし、このうちAがCにその保有する貸付債権の一部を譲渡するケースを考える。この場合に考えられる登記手続の選択肢としては、例えば以下などがあり得るが、それぞれ記載するような問題点がある。

    1. ABからABCへの譲渡登記を実行

      【問題点】
      上記a.③と同じである。
    2. 既存の動産譲渡登記を抹消し、直接借入人からABCへの動産譲渡登記を行う

      【問題点】
      上記a.④と同じである。
    3. 集合動産根譲渡担保権を再設定する
      後述の否認権行使等のリスクがある点を除けば法的なハードルは特にない。

 以上のように、いずれのパターンにおいても、現行の登記手続や実務上の制約を鑑みると、集合動産根譲渡担保権の再設定が最も合理的であり、現実的な選択肢となると考えられる。

 シンジケーションの局面、あるいはレンダー側のALM管理の観点からの、プロジェクトが順調に進行している場合において実施される債権譲渡に関しては、上記のように債権譲渡に際し集合動産根譲渡担保権の再設定を行わなければならないことは、手間はかかるものの法的にクリティカルなことであるとまではいえないであろう。これに対し、債権譲渡がなされるケースはそのような場合に限られない。プロジェクトに生じた問題の是正策や、既存のプロジェクトに新たなリスクが加わるようなリストラクチャリングに際して行われる場合で、譲渡に関わらない特定のレンダーが借入人の倒産について一定の懸念をもつようなケースでは、その後、借入人について、現に法的倒産手続が開始されてしまった場合の否認権行使の可能性等から、再設定について当該レンダーの理解を得ることが難しいことがあり得るように思われる。

3. 譲渡担保法の規律

 譲渡担保法施行後における集合動産根譲渡担保権設定契約について、従来一般的に用いられて来たものから変更すべき点として最初に検討することとなるのが、「準共有方式を維持すべきか、個別同順位方式に移行すべきか」という点であろう。譲渡担保法は、その7条において次のように規定しており、同法の対象となる動産※15については、これにより譲渡担保権についても個別同順位方式によることが可能となる※16

(同一の譲渡担保財産についての重複する譲渡担保契約)

第七条 譲渡担保財産は、重ねて譲渡担保契約の目的とすることができる。

 プロジェクト・ファイナンスにおいて、個別同順位方式をとる他の担保権に対し、譲渡担保権についてのみ準共有方式をとる理由が上記1.のとおりであったことからすると、譲渡担保法施行後の実務においては、集合動産根譲渡担保権についても、他の担保権同様、個別同順位方式によることになると思われる。そして、貸付債権については、(極度貸付の場合を除き)個別の普通譲渡担保権が設定されるため、被担保債権たる貸付債権の移転に随伴して、当該譲渡担保権も移転することになると考えられる。また、「譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」※17(「整備法」)に基づく改正後の動産・債権譲渡特例法の下では、新たに登記原因を譲渡担保とする動産譲渡登記に関する諸規定が整備され、そこでは、動産譲渡担保権者に関する情報が登記事項に追加されることとなる。したがって、かかる改正後の動産譲渡登記制度の下で、譲渡側貸付人と譲受側貸付人との共同申請により(整備法による改正後の動産・債権譲渡特例法6条の2、10条の4第1項)、当該移転の事実を登記に反映することになるであろう。

 ところで、譲渡担保法上、元本確定前の根譲渡担保権は、極度額の定めがない限り譲渡(全部譲渡、分割譲渡及び一部譲渡)することができない(21条)ことに留意が必要である。したがって、譲渡担保法の適用がある根譲渡担保権に関しては、個別同順位方式により設定されたものであっても、これを譲渡するためには、担保権設定契約上、極度額の合意をしておく必要がある。なお、当該譲渡には、譲渡後の根譲渡担保権の被担保債権の範囲に譲渡対象となった債権と譲受側貸付人の下で発生する債権の双方が含まれるようにするため、被担保債権の範囲の変更を伴うことになると考えられるが、個別同順位方式により設定された根譲渡担保権について、極度額の定めがあれば、他の登記上の利害関係人の承諾なく、かかる手続を行うことも可能である(15条)。

4. 譲渡担保法施行までの実務について

 譲渡担保法は、同法附則に特別の定めがある場合を除き、同法施行日前に締結された譲渡担保契約についても適用される(附則2条)。したがって、同法施行日前に締結される動産譲渡担保権設定契約について、現行法上可能であり、かつ譲渡担保法適用下において有用と思われる内容を予め規定しておくことには意味があると考えられる。

 この点、根譲渡担保権に係る極度額の定めは不要であるというのが通説であり※18、特にプロジェクト・ファイナンスなどにおいては、借入人において、プロジェクト・ファイナンスにおける融資関連契約に基づくもの以外の金融債務の負担を生じることも予定されておらず、担保余剰の利用といったニーズも存在しないため、特別の議論がなされないまま、極度額を定めないことが一般化している。

 譲渡担保法は、根譲渡担保権の全部譲渡、分割譲渡(極度額を含め、根譲渡担保権を数量的に分割する方法)及び一部譲渡(根譲渡担保権自体は分割せず、譲受人と譲受人が根譲渡担保権を準共有する方法)について明文で規定しているが(21条及び22条)、これは根抵当権に関する民法398条の12及び398条の13の規定とパラレルなものといえる。したがって、準共有方式により設定された集合動産根譲渡担保権について、譲渡担保法施行後、元本の確定前に、その準共有者たるレンダーが自らの貸付債権の譲渡とともに、準共有持分の譲渡を行う方法については、同法下において明確になったとはいえず、これについては、前記2.(1)b.にて述べた、現行法下において解釈上導かれる方法と同じく、譲渡側貸付人を含む譲渡前の全準共有根譲渡担保権者から、譲受側貸付人を含む譲渡後の全準共有根譲渡担保権者への譲渡という方式がとられる可能性が高いように思われる。

 他方で、対抗要件具備手続については、前述のとおり、整備法による改正後の動産・債権譲渡特例法の下では、新たに登記原因を譲渡担保とする動産譲渡登記に関する諸規定が整備され、動産譲渡担保権者に関する情報が登記事項に追加されることとなる。そして、当該新登記制度の下では、動産譲渡担保権の準共有の場合には、準共有者全員が動産譲渡担保権者として登記上明記されることになることが見込まれる。

 そうすると、譲渡担保法及び整備法施行後に、準共有のかたちで集合動産根譲渡担保登記を行えば、その後は、元本確定前における準共有持分の譲渡を動産譲渡登記に表すことができることとなり(整備法による改正後の動産・債権譲渡特例法10条の4第1項)、被担保債権の譲渡に伴う、登記制度の不備を理由とした集合動産根譲渡担保権自体の再設定の方法を避けることができることとなろう。譲渡担保法は、根譲渡担保権の準共有を要素とするその元本確定前の一部譲渡を明文で認め(22条)、かつ、かかる一部譲渡の対抗要件については動産・債権譲渡特例法に基づく登記によることとしているから(23条1項)、現行法下で上記2.(2)a.③の方法について存在したような疑義は、譲渡担保法下では十分に払拭されているものとみることができると思われる。

 もっとも、そのためには、上述のとおり、設定された集合動産根譲渡担保権について極度額の定めがあることが必要となる。かかる極度額の定めは、少なくとも譲渡担保法施行後は、極度額の定めのない根譲渡担保権について新たに設けることも可能ではあるが(16条)、担保権設定契約の変更を期中で行うことがさほど一般的とはいえない中、上述のとおり現行法の下でも根譲渡担保権につき極度額を定めることはできると考えられることからすれば、譲渡担保法施行前の現時点において、極度額を定めておくことにも実務的な意味があるところと思われる。したがって、現在締結に向けて交渉中で同法施行日前に締結される集合動産根譲渡担保権設定契約に関し、また、同法施行日前に変更する可能性のある集合動産根譲渡担保権設定契約について、当該締結又は変更に際し、極度額を定めておくことも検討に値するものと考えられる。

脚注一覧

※1
譲渡担保法については既に少なくない論稿が発表されている。特に、立法担当者による「『譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律』及び『譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律』の解説」がNBLに連載(No.1297以降)されており大いに参考になる。譲渡担保法の内容の解説についてはそれらの論稿に委ね、本稿では、本文記載の目的に関連する限度で同法の内容に触れるに止めている。

※2
本稿において、法令名を明記せずに記載した条文は、譲渡担保法の条文を指す。

※3
公布から2年6か月を超えない範囲で政令で定める日に施行される。

※4
本稿執筆にあたっては、譲渡担保法の立法担当者の一人である弊事務所の淺野航平弁護士より貴重な助言を受けた。もっとも、本稿で取りあげる論点については、理論上又は実務上確立した解釈や取扱いがないものが少なくなく含まれ、それらについての考え方は筆者の私見に止まる。

※5
拙稿「プロジェクト・ファイナンスにおける企業価値担保権の有用性」(金融法務事情・No.2263)50頁以下、「国内プロジェクトファイナンスにおけるセキュリティ・パッケージの実務的機能と企業価値担保権活用についての一考察」(NO&T Infrastructure, Energy & Environment Legal Update インフラ・エネルギー・環境ニュースレター・2024年12月)など参照。

※6
青山大樹編著「シンジケートローンの法務」174頁以下。

※7
判例(最判平成18・7・20(民集60巻6号2499頁))はその傍論において、後順位譲渡担保権の概念を認めており、そうであれば、個別同順位方式も認められそうであるが、当該判例に従った実務が確立されている状況とはいえない。

※8
勝山輝一・村治能宗・松本岳人「実務プロファイ読本」(金融財政事情研究会・2025年)19頁以下など参照。

※9
なお、昨今では、一時的な元利払いのための資金の不足に備えた元利金支払準備金(Debt Service Reserve)をはじめとする各種積立金の代替として、極度貸付が利用される例が多いが、かかる極度貸付に係る貸付債権は発生の有無、時期及び金額を特定できないため、根担保権の対象となる。

※10
特定の債権のみを被担保債権とする根担保権の効力には疑義があるとされるが、特定の債権を不特定債権とともに根担保権により担保することは妨げられないと解されている(前掲青山264頁及び同書において言及されている各文献参照)。

※11
本稿の目的からは離れるが、譲渡担保法に関しては、「占有改定劣後ルール」(36条)の採用に留意する必要がある。前掲立法担当者解説(3)(NBL・No.1300)73頁以下等を参照のこと。

※12
譲受人が既存レンダーではない場合ももちろん想定され得るが、冒頭記載の問題意識のためにこのような設例としている。もっとも、譲受側貸付人が既存レンダーの場合、本文a.①は採用し得ないが、他は基本的に本文記載のところと同様と考えられる。

※13
伊藤隆「続 動産・債権譲渡登記の現場-第1回 動産・債権譲渡登記に関する諸問題(1)」(登記情報・663号)36頁は、投資事業有限責任組合を譲渡人とする譲渡登記について、各組合員をそれぞれ譲渡人とし、投資事業優先責任組合の組合財産であることを示すために、「備考」欄に有益事項としてその旨を記載する方法を紹介している。

※14
破産法160条以下、民事再生法127条以下、会社更生法86条以下。

※15
抵当権の目的とすることができる動産(但し、農業用動産及び登録自動車を除く。)以外の動産は広く対象となる(譲渡担保法2条16号イ)。

※16
なお、これに関連して、32条は、異なる順位の動産譲渡担保権の存在を予定している。異なる順位の動産譲渡担保権の設定が可能となることは、トランチング(メザニンローンの採用)において有用であるほか、33条において新たに認められることとなる動産譲渡担保権の順位変更により、プロジェクトに対する追加投資等に際して追加(トップアップ)ローンの提供がなされるケースにおいて、トップアップ部分の担保権と既存ローンに係る担保権とを、既存譲渡担保権の効力及び対抗要件を維持したまま同順位とすることができる点で、実務上小さくないメリットがあると考えられる。

※17
譲渡担保法同様、公布の日である令和7年6月6日から起算して2年6月を超えない範囲内において政令で定める日から施行される。

※18
前掲青山258頁及び同書において言及されている各文献参照。

本ニュースレターは、各位のご参考のために一般的な情報を簡潔に提供することを目的としたものであり、当事務所の法的アドバイスを構成するものではありません。また見解に亘る部分は執筆者の個人的見解であり当事務所の見解ではありません。一般的情報としての性質上、法令の条文や出典の引用を意図的に省略している場合があります。個別具体的事案に係る問題については、必ず弁護士にご相談ください。


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