1. PE課税特例の制度趣旨
ファンドが、わが国の投資事業有限責任組合として組成されている場合、所得税法及び法人税法上、ファンド自体は納税義務者とはならず、ファンドの事業から生じる所得は、ファンドの組合員である投資家が直接取得するものとして取り扱われる。
ファンドの投資家に非居住者又は外国法人である者(以下「外国投資家」という。)が含まれている場合、ファンドの他の組合員の中に国内に恒久的施設(以下「PE」という。)を有する者が一人でもいると、組合の行う事業が組合員の共同事業であることを理由として、当該外国投資家も国内にPEを有するものとして取り扱うというのが課税実務の原則的立場である※1。わが国で投資事業有限責任組合が組成される場合、その運営を担うGP(General Partner;無限責任組合員)は居住者又は内国法人であるのが通常であるから、かかる課税実務の原則的立場の下では、ファンドにLP(Limited Partner;有限責任組合員)の立場で投資した外国投資家は国内にPEを有するものとして取り扱われ、その結果、当該外国投資家は、ファンドから支払いを受ける投資利益の分配金について20.42%の税率で源泉徴収を受けるとともに※2、ファンドによる投資を通じて得た所得について申告納税の義務を負うことになる※3。
このような取扱いは、外国投資家による国内で組成されたファンドに対する投資を阻害すると考えられたため、平成21年度税制改正により、組合としての共同事業性が希薄であると考えることのできる一定の要件を満たした場合において、外国投資家はPEを有しないものとみなすこととされた※4。これが本ニュースレターで取り上げるPE課税特例であり、その正式名称は「外国組合員に対する課税の特例」という。PE課税特例は、その後の平成30年度税制改正により、PEを有しないものとみなすことに代えて、当該PEに帰属する国内源泉所得について、所得税及び法人税を非課税とする内容に改正されている。