(1) 改正法案の内容
個人情報取扱事業者は、特定生体個人情報を取り扱うに当たって、以下の各事項を本人に通知し、又は本人が容易に知り得る状態に置くことが求められます(改正法案21条の2第1項各号)。
- 個人情報取扱事業者の氏名又は名称及び住所並びに法人の場合はその代表者※7の氏名(1号)
- 特定生体個人情報を取り扱う旨(2号)
- 特定生体個人情報の利用目的(3号)
- 特定生体個人情報に含まれる特定生体個人識別符号に変換される身体の一部の特徴に関する情報の内容(4号)
- 開示等の請求等に応じる手続※8(5号)
- その他個人の権利利益を保護するために必要なものとして個人情報保護委員会規則で定める事項(6号)
上記各号に定める事項は、「本人に通知し、又は本人が容易に知り得る状態」に置くことが求められ、この特定生体個人情報に関する上記各号の事項を周知する具体的な方法については、別途個人情報保護委員会規則で定めることとされています※9。顔識別機能付きカメラシステムを設置する場合に望ましい対応とされていた設置する施設での掲示等まで求められることになるのか等、措置の具体的な方法がどの程度限定的なものとなるかは、国会審議での議論や、今後制定される個人情報保護委員会規則を注視することが求められます。
ただし、かかる周知義務には例外が定められており、以下のいずれかの事由に該当する場合は、周知義務が適用されないこととなります(改正法案21条の2第2項各号)。
- 本人又は第三者の生命、身体、財産その他の権利利益を害するおそれがある場合(1号)
- 個人情報取扱事業者の権利又は正当な利益を害するおそれがある場合(2号)
- 国の機関又は地方公共団体が法令の定める事務を遂行することに対して協力する必要がある場合であって、周知することにより当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき(3号)
- その他これらの準ずるものとして個人情報保護法施行令で定める場合(4号)
上記①から③までの事由は、前述「現行法上の生体データの取扱い規律と顔特徴データ等に対する問題意識」1の個人情報全般に係る取得に際しての通知等に係る例外事由に相当するものとなっています(法21条3項1号~3号)。上記④については、特定生体個人情報の特性や取扱い実態に応じたものとなるよう、個人情報保護委員会規則で定められるものと考えられます。
なお、当該周知義務には経過措置が定められています。具体的には、改正法の施行日前に改正法案21条の2第1項各号に掲げる事項に相当する事項が本人に通知されているときは、当該通知は改正法上の通知とみなされることとなっています(改正法案附則4条1項)。