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ベトナム:個人データ保護法違反への行政罰を定める政令ドラフトの公表 ―影響評価未提出で国内売上高5%の制裁も
(2026年6月)
安西信之助
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「速報 令和8年個人情報保護法改正法案」につきましては以下もご参照ください。
※本ニュースレターは情報提供目的で作成されており、法的助言ではありませんのでご留意ください。また、本ニュースレターは発行日(作成日)時点の情報に基づいており、その時点後の情報は反映されておりません。特に、速報の場合には、その性格上、現状の解釈・慣行と異なる場合がありますので、ご留意ください。
令和8年4月7日に閣議決定された「個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律案」(以下「改正法案」といいます。なお、改正法案として条番号を記載しているものは、改正後の法律の条番号を指します。)では、一定の悪質な事案に対する個人情報保護法のエンフォースメント強化のための新たな措置として、課徴金制度の導入が提案されています。この点は、経済界からの反発も大きく、いわゆる3年ごと見直しの検討過程において最も議論を呼んだ論点の一つでした。検討の過程で示されていた案※1に比して、課徴金の対象となる行為がより限定されているものの、最終的に改正法案において課徴金制度の導入が提案された点は、大きな注目を集めています。
本ニュースレターでは、①改正法案の提出に至るまでの検討過程について簡潔に整理した上で、②改正法案における課徴金制度の内容について解説するとともに、③実務対応や今後注目すべきポイントについて述べます。
課徴金制度については、平成27年改正時※2や令和2年改正時※3にも導入が検討されましたが、法制的な課題もあって継続検討となり、令和2年改正時の参議院内閣委員会の附帯決議※4において「違反行為に対する規制の実効性を十分に確保するため、課徴金制度の導入については、我が国他法令における立法事例や国際的な動向も踏まえつつ引き続き検討を行う」とされていました。
現行の個人情報の保護に関する法律(以下「現行法」又は「法」といいます。)では、法に違反した個人情報取扱事業者等に対する罰則等として、命令違反に関する罰則等が規定されているものの、違反事業者が勧告・命令等を受けた後に違反行為を中止すれば、当該罰則等の適用はなく、違反事業者が違反行為から得た経済的利得を剥奪する仕組みは設けられていません。また、既存の罰則(刑事罰)を海外の事業者に対して執行することは必ずしも現実的ではないところ、課徴金制度は、個人情報保護法の域外適用を受ける外国事業者に対する有効な法執行手段となり得ると指摘されていました※5。国外に目を向けると、EUや米国のほか、中国や韓国等においても、違法な個人情報の取扱いを行う事業者に対する制裁金制度が導入されており、諸外国の制度との調和の重要性についても指摘がなされていました※6。
このような背景から、今回の3年ごと見直しにおいても、「規律遵守の実効性確保のための規律」の一環として、課徴金制度の導入が検討されました。もっとも、令和6年6月27日に公表された「個人情報保護法いわゆる3年ごと見直しに係る検討の中間整理」※7において、課徴金については「令和6年末までを目途に議論を深める」こととされたものの※8、その後同年7月から開催された個人情報保護法のいわゆる3年ごと見直しに関する検討会(以下「検討会」といいます。)における議論を経ても結論はまとまらず、そこでの議論状況を踏まえて検討を継続することとされました※9。
検討会においてとりまとめられた検討会報告書では、課徴金納付命令の対象となり得る違反行為について、大きく「第三者提供規制等違反」と「安全管理措置義務違反」の2つの場面を想定し、それぞれの場合について課徴金制度の導入の要否や、導入にあたっての制度設計についての議論がまとめられています。しかしながら、特に漏えい等の安全管理措置義務違反に対する課徴金制度の導入に関しては、例えば、①安全管理措置義務違反の場合は経済的誘因が考えにくい、②安全管理措置義務違反を防止するための「相当の注意を怠っていない場合」として求められる基準が明確ではない、③課徴金の算定方法の妥当性を慎重に検討すべき、といった意見もあり、その後、令和8年1月9日に公表された「個人情報保護法 いわゆる3年ごと見直しの制度改正方針」(以下「制度改正方針」といいます。)において、安全管理措置義務の違反は課徴金納付命令の対象から除外されました※10・11。
改正法案において定められている課徴金納付命令の要件は、大要、①課徴金対象行為、②対価要件(金銭その他の財産上の利益の取得)、③主観的要素(相当の注意を怠った者であること)、④権利利益侵害要件(個人の権利利益を害する程度が大きいこと)、⑤大規模要件(課徴金対象行為に係る個人データ又は個人情報の本人の数が1,000人を超える事案であること)であり、これらの要件が満たされている場合、個人情報保護委員会は、個人情報取扱事業者に対して、課徴金の納付を命じなければならないとされています(改正法案148条の3第1項・2項)。以下、各要件について詳述します。
課徴金納付命令は、法違反行為の全てに対して行われるものではなく、その対象は以下の行為(以下「課徴金対象行為」といいます。)に限定されています。なお、課徴金納付命令の対象となるのは、改正法案の施行日以後に行われた課徴金対象行為とされています(改正法案附則8条)※12。
個人情報保護委員会が課徴金の納付を命じるためには、課徴金対象行為を行った個人情報取扱事業者が、代金、報酬、利用料、手数料その他名目のいかんを問わず、課徴金対象行為又は課徴金対象行為をやめることの対価として金銭その他の財産上の利益を得たこと※15が必要です。そのため、当該個人情報取扱事業者がこのような金銭その他の財産上の利益を得ていない場合には、課徴金納付命令の対象にはなりません。
個人情報取扱事業者が、課徴金対象行為が行われた期間を通じて、当該行為を防止するための「相当の注意を怠った者でないと認められる場合」には、課徴金納付命令の対象とならないとされているため、個人情報取扱事業者がこのような場合に当たらないこと(すなわち、相当の注意を怠った者であると認められること)が課徴金納付命令の要件となっています。
違反事業者が適切な注意を尽くしていた場合も課徴金納付命令の対象となると、課徴金制度が過剰な規制となり、事業者側が適切な体制整備を行うインセンティブも失われるおそれがあるため※16、上記のような主観的要素による限定が付されています※17。具体的にいかなる場合に「相当の注意を怠った者でないと認められる場合」に該当するかは、実務上重要なポイントであり、今後国会審議やガイドライン、Q&A等で明確化されることが期待されます。
「個人の権利利益を害する程度が大きくない場合として政令で定めるとき」に該当する場合は、個人情報保護委員会は、課徴金の納付命令を行うことができないとされています※18・19。
いかなる場合に「個人の権利利益を害する程度が大きくない場合」に当たるかについては、国会で審議される可能性もありますが、最終的には改正法案の成立後に策定される政令を待つ必要があります※20。
「課徴金対象行為に係る個人情報又は個人データ……の本人の数が1,000人を超えないとき」についても、個人情報保護委員会は、課徴金の納付命令を行うことができないとされています※21。この要件は、特に必要性が高い事案に対して監督権限を集中的に行使する観点から、課徴金納付命令の対象を大規模事案に限定する趣旨であると考えられます※22。
課徴金納付命令を受けた個人情報取扱事業者は、課徴金対象行為又は課徴金対象行為をやめることの対価として得た金銭等に相当する額(以下「対価額」といいます。)に対応する課徴金を納付しなければなりません。ここでは、独占禁止法や景品表示法のように(原則として)違反行為を行っていた期間の売上高に一定の割合を乗じるという算定方式ではなく、違反行為そのものによって得た対価の額を算定することとされています。
なお、対価額の具体的な算定方法は、政令で定めることとされています(改正法案148条の3第1項・2項)。
個人情報取扱事業者が個人情報保護委員会による報告又は資料の提出の要求(改正法案146条1項)に応じない場合、当該個人情報取扱事業者が課徴金対象行為によって得た対価の内容など、課徴金の算定基礎となるべき事実を把握できない事態が考えられます。個人情報保護委員会は、このような場合には、当該事実の報告又は提出が行われず課徴金の計算の算定の基礎となるべき事実を把握することができない期間における対価額を、以下の事業者から入手した資料その他の資料を用いて、個人情報保護委員会規則で定める合理的な方法により推計して、課徴金納付命令を発することができることとされています(改正法案148条の4)。
改正法案では、過去に課徴金納付命令を受けたことがある個人情報取扱事業者に対する課徴金の額の義務的加算が盛り込まれています(改正法案148条の5)。
具体的には、以下の図のとおり、課徴金納付命令の対象となる個人情報取扱事業者が、過去10年以内(基準日は、原則として、課徴金対象行為に関する報告徴収等※23が最初に行われた日※24)に課徴金納付命令を受けたことがあり、その命令の日以後に課徴金対象行為をしていた場合には、課徴金納付額が1.5倍に加算されます。
また、改正法案では、自主的な報告による減額の制度も盛り込まれています。具体的には、個人情報取扱事業者が課徴金対象行為に該当する事実を個人情報保護委員会規則に定めるところにより個人情報保護委員会に報告したときは、課徴金の額(上記の加算が適用される場合は適用後の額)の50%を減額するものとされています(改正法案148条の6本文)※25。ただし、個人情報取扱事業者による報告が、課徴金対象行為についての調査があったことにより課徴金納付命令があるべきことを予知して行われたものである場合には、減額の対象外となります(同条ただし書)※26。
改正法案では、上記1記載の要件が全て満たされた場合は、個人情報保護委員会は、個人情報取扱事業者に対して課徴金を国庫に納付することを「命じなければならない」と規定しており、課徴金の義務的賦課制度が採られています(改正法案148条の3第1項・2項)。ただし、課徴金対象行為がなくなった日から7年を経過したときは、個人情報保護委員会は当該行為についての課徴金納付命令を行うことができないとされています(改正法案148条の7第7項)。
課徴金納付命令は、課徴金対象行為を行った個人情報取扱事業者に対して行われますが、当該個人情報取扱事業者について合併・事業譲渡・会社分割が生じた場合の取扱いについては、一定の例外が設けられています。
課徴金対象行為を行った個人情報取扱事業者が法人である場合において、当該法人が合併により消滅したときは、当該法人が行った課徴金対象行為は、吸収合併における存続法人や新設合併における新設法人が行った行為とみなされ、改正法案148条の3から148条の7の規定が適用されます(改正法案148条の7第3項)※27。
下記(2)の事業譲渡・会社分割の場合の取扱いについては、譲渡先や承継先が子会社、親会社又は兄弟会社となる場合にのみ適用されますが、合併の場合の取扱いについては、そのような関係にない第三者との合併の場合にも適用されます。第三者との合併を検討される際には、消滅法人となる合併の相手方が、課徴金対象行為を行っていないかや、課徴金納付命令を受けていないか等を事前に十分に調査することが重要です。
課徴金対象行為を行った個人情報取扱事業者が法人である場合において、当該課徴金対象行為に係る事案について報告徴収等が最初に行われた日※28以後に、①(a)その一つ若しくは二つ以上の子会社等※29に対して、当該課徴金対象行為に係る事業の全部を譲渡し、又は(b)その一つ若しくは二つ以上の子会社等に対して会社分割により当該課徴金対象行為に係る事業の全部を承継させた場合において、かつ、②当該法人が合併以外の事由により消滅したときは、当該法人がした課徴金対象行為は、上記①によって事業の譲渡を受け又は承継した子会社等(以下「特定事業承継子会社等」といいます。)がした課徴金対象行為とみなされ、改正法案148条の3から148条の7の規定が適用されます(改正法案148条の7第4項)※30・31。
なお、改正法案148条の7第3項及び同条4項が、「改正法案148条の3からこの条(執筆者による注:148条の7)までの規定を適用する」と規定していることから、合併や会社分割・事業譲渡が複数回行われた場合には、同条3項及び同条4項のみなし規定が複数回適用されると考えられます※32。
個人情報保護委員会は、課徴金納付命令をしようとするときは、当該課徴金納付命令の名宛人となるべき者に対して、弁明の機会を付与しなければならないとされています(改正法案148条の8)。個人情報保護委員会が口頭による弁明を認めた場合を除き、弁明は、弁明書の提出によって行うものとされています(改正法案148条の9)。弁明の機会の付与通知※33を受けた者が代理人を選任し、当該代理人が弁明を行うことも認められています(改正法案148条の11)。
課徴金納付命令は、①納付すべき課徴金の額、②課徴金の計算の基礎、③命令の対象となった課徴金対象行為、④納期限※34を記載した「課徴金納付命令書」の謄本を、その名宛人に送達することによって効力を生じます(改正法案148条の12)。送達を受けるべき者の住所等が知れない場合や、外国においてすべき送達のうち一定の場合には、公示送達(改正法案163条)による送達をすることも可能となっています※35・36。
このように課徴金納付命令については固有の手続規定が設けられていることから、改正法案では、行政手続法第3章(不利益処分における理由の提示、聴聞、弁明の機会の付与等)の規定の適用が除外されています(改正法案148条の16)※37。
課徴金制度については、経済界を中心に反対の声が大きく、導入の有無が注目されていました。多数にわたるヒアリングや検討会での議論を踏まえて、安全管理措置義務違反が課徴金対象行為から除外されるなど対象事案が限定されたほか、対価要件、主観的要素、権利利益侵害要件及び大規模要件といった要件が設けられています。その結果として、課徴金納付命令の対象はそれらの要件を全て満たす悪質な行為に絞られていますので、企業実務への影響は従前想定されていたものと比べれば、相応に限定的なものになりそうであるとの評価もあり得る一方で、実務上の運用がどのようになるかを注視することが重要ではないかと思われます。
課徴金対象行為についていえば、安全管理措置義務違反が対象外とされた一方で、AI特例に関する義務違反が含まれている点は、重要です。個人情報保護委員会は、AI特例に関する義務違反の具体例として、以下のような場合を挙げています※38。
実務上の対応としては、AI特例に関する義務違反を含め、課徴金対象行為に当たる違反行為を行わないよう、改めて自社の個人情報・個人データの取扱いにかかるフローや体制を見直し、法令違反の懸念がないかを確認するとともに、定期的に再点検を行うことが重要です。このような取組みは、仮に違反が生じてしまったとしても、自社が「相当の注意を怠った者でない」ことを示すことにつながり得るものであるとも考えられます。
改正法案が可決・成立した場合には、その後の政令、規則、ガイドライン・Q&A等を通じて、課徴金納付命令の要件や手続等の具体化が図られることが想定されるため、今後も制度改正の動向に注意が必要です。特に注目すべきと思われるポイントは以下のとおりです。
課徴金納付命令については、改正法案の条文上は、「命じなければならない」とされているので、上記「1. 課徴金納付命令の要件」の「⑴ 課徴金対象行為」から「⑸ 大規模要件」の要件を充足する場合には、義務的に課徴金納付命令が発令されることになるはずです。しかしながら、景品表示法などの他の課徴金制度が導入されている先例の実務運用を踏まえると、実際には事案の悪質性や当局側のリソースの問題などから、違反認定までせずに違反の疑いやおそれがあったという事実認定にとどめて、課徴金納付命令を発令しないといった取扱いがなされることも考えられるところです。
また、対価要件については、「その他の財産上の利益」の意義が必ずしも一義的に明確とは言いがたく、例えば一定のサービスの提供を無償で受けたりする場合も文言上は含まれるようにも思われますが、そのサービスの提供について金銭評価が困難な場合に、どのように課徴金の金額を算出するのかといった点が実務上は問題となり得るものと考えられます。
さらに、主観的要素である「相当の注意」の内容については、具体的にどのような内容・水準の注意義務を想定しているのか、国会での審議やガイドライン・Q&A等で明らかにされることが期待されます。また、この点に関する立証責任を個人情報取扱事業者が負うか、それとも当局側が負うかについては、実務上極めて重要な意義を持つと考えられます。なぜならば、当局側が立証責任を負うとすれば、調査段階での調査事項が増え、かつ、主観的要素であるがゆえにその調査にはかなりの負担が発生することが予想され、結果的に執行事例の数は限定的になることが予想されるからです。この点、改正法案が参考にしたと思われる景品表示法については、主観的要素がただし書に規定されており、当局側が立証責任を負うものと解されているところ、本改正法案とは条文構造に異なる点があることから、国会審議等でこの点が明らかにされることが期待されます※39。
※1
検討過程における個人情報保護委員会事務局の案を示す資料として、例えば、個人情報保護委員会事務局「現行制度と検討の方向性について(課徴金制度③)」(令和6年12月18日)(以下「検討会提出資料」といいます。)などがあります。
※2
高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部「パーソナルデータの利活用に関する制度改正大綱」(平成26年6月24日)15頁
※3
個人情報保護委員会「個人情報保護法 いわゆる3年ごと見直し 制度改正大綱」(令和元年12月13日)(以下「令和2年改正大綱」といいます。)34頁
※4
第201回参議院内閣委員会「個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議」(令和2年6月4日)
※5
令和2年改正大綱34頁
※6
個人情報保護法のいわゆる3年ごと見直しに関する検討会「個人情報保護法のいわゆる3年ごと見直しに関する検討会報告書」(令和6年12月25日)(以下「検討会報告書」といいます。)12~14頁参照。また、宍戸常寿「課徴金制度をめぐる論点」法律のひろば73巻10号31頁も参照。
※7
この中間整理に対するパブリックコメントでは、事業者側からは、データ利活用などの経済活動に対する萎縮効果が大きいとして強く反対する意見がある一方で、主に消費者団体や個人等からは課徴金制度の導入に賛成する意見が見られ、制度導入の要否について大きく意見が分かれる結果となりました。
※8
具体的には、「関係団体からのヒアリングで強い反対意見が示されていることに加え、我が国の他法令における導入事例や国際的動向、個人の権利利益保護と事業者負担とのバランスを踏まえ、その導入の必要性を含めて検討する必要がある。」という考え方が示されました。
※9
個人情報保護委員会「個人情報保護法の制度的課題に対する考え方について」(令和7年3月5日)10~11頁
※10
個人情報保護委員会「第347回個人情報保護委員会議事録」(令和8年1月9日)4~5頁〔芦田企画官発言〕
※11
課徴金制度のほか、団体による差止請求制度や被害回復制度についても検討されていましたが、導入は見送られました(制度改正方針3頁)。
※12
そのため、改正法案の施行日前に行われた課徴金対象行為に対して遡及的に課徴金納付命令が発出されることはないものの、改正法案の施行日を前後して継続的に課徴金対象行為が行われた場合には、当該施行日以後の行為は課徴金納付命令の対象となります。
※13
改正法案40条の2第1項の規定(16歳未満の者の個人情報等の取扱いに関する読替規定)による読替の場合も含みます。
※14
改正法案では、個人データ等の第三者提供及び公開されている要配慮個人情報の取得について、統計情報等の作成にのみ利用される場合は本人同意を不要とする新たな特例が提案されています。個人情報保護委員会は、いわゆる3年ごと見直しの検討の過程及び改正法案の説明において、ここでいう統計情報等の作成には、統計作成等と整理できるAI開発等が含まれるとしているため、以下では、かかる特例を「AI特例」といいます。AI特例によって(i)要配慮個人情報を取得した事業者、(ii)個人情報の提供を受けた事業者、及び(iii)個人関連情報の提供を受けた個人データとして取得した事業者には、本人同意に代わる追加的なルールとして、大要、①公表の継続、②利用範囲の制限、③第三者提供の禁止、④安全管理措置等が課されることになります。詳細については、「速報 令和8年個人情報保護法改正法案 第2回 AI特例(統計作成等の特例)」をご参照ください。
※15
課徴金対象行為のうち、適正取得条項違反(上記1(1)④)に関しては、取得した個人情報の利用又は当該利用をやめることの対価として金銭等を得たことが要件となっています。
※16
検討会報告書18頁
※17
国内他法令の課徴金制度において同様の限定を付している例としては、景品表示法(同法8条1項ただし書)、公認会計士法(同法30条2項・3項、31条の2第2項2号)などがあります。
※18
検討会では、「課徴金納付命令の対象を、個人の権利利益が侵害され、又は侵害される具体的なおそれが生じた場合に限定することが考えられる。」として、個人の権利利益が実際に侵害されている場合に加え、侵害される具体的な「おそれ」が生じている場合も含まれる形で提案がなされていましたが、要件が不明確である点に懸念があるといった意見も示されていました(検討会報告書19頁)。2026年1月の制度改正方針では、「個人の権利利益を害する程度が大きくない場合に該当しない」場合に限り、課徴金納付命令の対象とする旨の方針が示されており、「おそれ」への言及はなされていませんでしたが、改正法案に関する個人情報保護委員会事務局の公表資料(個人情報保護委員会事務局「個人情報保護法等の一部を改正する法律案について」(令和8年4月)(以下「改正法案説明資料」といいます。))では、「個人の権利利益が侵害され、又は侵害される具体的なおそれが生じた場合に限定」とされており、「おそれ」が生じた場合も含まれているように読める記載が残っています。この要件の具体的な内容については、政令における明確化を待つ必要があります。
※19
このように法令において保護しようとする利益等への影響を考慮している課徴金制度の例として、薬機法(同法75条の5の2第3項1号)及び公認会計士法(同法31条の2第2項1号)があります。
※20
なお、検討会で個人情報保護委員会事務局が提出した資料では、個人の権利利益の侵害等の存在に係る要件が否定されるケースとして、①提供先において本人が識別されたり、本人に対する連絡等が行われたりするおそれがない個人データを提供した場合や、②提供先が、提供された個人データを、閲覧・利用せずに直ちに削除又は返却した場合が挙げられていました(検討会提出資料11頁)。
※21
1,000人という数字に関しては、行政機関の個人情報ファイル簿の作成・公表義務の対象となる基準(法74条2項9号、75条2項1号及び同法施行令20条2項)が参考にされています(検討会報告書20頁)。
※22
国内他法令の課徴金制度において同様の限定を付している例としては、景品表示法(同法8条1項ただし書)などがあります。
※23
改正法案146条1項の規定による報告若しくは資料の提出の要求又は立入検査をいいます。以下同じです。
※24
当該報告徴収等が行われなかったときは、当該個人情報取扱事業者が当該事案について改正法案148条の10第1項の規定による弁明の機会の付与の通知を受けた日が基準日となります。
※25
景品表示法上の不当表示に対する課徴金(同法9条)、薬機法上の誇大広告に対する課徴金(同法75条の5の4)等の他の法令でも、事業者が違反事実を自ら報告した場合に課徴金額を一定額減額する制度が設けられています。
※26
このような例外が設けられている点も、景品表示法(同法9条ただし書)及び薬機法(同法75条の5の4ただし書)と同様です。
※27
この場合、改正法案148条の5の適用もあることから、例えば、(i)消滅法人に対する課徴金納付命令及び(ii)消滅法人による2回目の課徴金対象行為がいずれも合併前に生じており、消滅法人が改正法案148条の5の加算算定率を適用されるべきであった場合は、存続法人・設立法人が支払うこととなる課徴金額の計算にも加算算定率が適用されると考えられます。これに対して、例えば、消滅法人が合併前に課徴金納付命令を受けていた場合において、存続法人・新設法人が合併後に別途課徴金対象行為を行った場合には、当該存続法人・新設法人は、改正法案148条の5の加算算定比率の対象にはならない可能性が高いように思われます。独占禁止法では、合併前に課徴金納付命令を受けたことがある他の事業者と合併した事業者が、合併後に違反行為を行った場合には、加算算定比率の対象となる旨の規定がありますが(同法7条の3第1項3号)、改正法案ではこのような規定は盛り込まれていないためです。もっとも、改正法案148条の7第3項・4項の場合において、148条の3から148条の7の規定の適用に関し必要な事項を政令で定めるとされているため(同条6項)、この点を含めた具体的な解釈については、当該政令の規定やその後に策定されるガイドライン・Q&A等による明確化が期待されます。
※28
報告徴収等が行われなかったときは、弁明の機会の付与の通知を受けた日。
※29
当該個人情報取扱事業者の子会社、親会社、又は当該個人情報取扱事業者と親会社が同一である他の会社をいいます。
※30
ここでも、改正法案148条の5の適用があるとされていることから、例えば、(i)消滅法人に対する課徴金納付命令及び(ii)消滅法人による2回目の課徴金対象行為がいずれも事業譲渡前に生じており、消滅法人が改正法案148条の5の加算算定率を適用されるべきであった場合は、特定事業承継子会社等が支払うこととなる課徴金額の計算にも加算算定率が適用されると考えられます。
※31
「特定事業承継子会社等」が複数存在する場合には、当該子会社等の間での連帯納付を命ずることになります(改正法案148条の7第4項第2文)。
※32
同様の独占禁止法の規定に関する立案担当者の解説として、松本博昭編『逐条解説 令和元年改正独占禁止法 課徴金制度の見直し』(2020年)85頁、87頁。
※33
弁明の機会の付与の通知には、納付を命じようとする課徴金の額や、課徴金の計算の基礎及び当該課徴金に係る課徴金対象行為、弁明書の提出先及び提出期限などを記載するものとされています(改正法案148条の10第1項)。
※34
課徴金の納期限は、課徴金納付命令書の謄本を発する日から七月を経過した日とされています(改正法案148条の12第3項)。
※35
改正法案では、公示送達のデジタル化も盛り込まれており、具体的には、個人情報保護委員会規則で定める方法(例えば、ホームページへの掲載等が考えられます。)により公示するとともに、個人情報保護委員会の掲示場に掲示し、又は個人情報保護委員会に設置した端末で閲覧できるようにすることが提案されています(改正法案163条2項)。
※36
改正法案では、第6章第2節第1款第3目(改正法案148条の3から148条の17)に定めるもののほか、課徴金納付命令に関し必要な事項は、個人情報保護委員会規則で定めることとされています(改正法案148条の17)。
※37
例えば、行政手続法では一定の額の金銭の納付を命じる不利益処分に関しては弁明の機会の付与の規定を適用しないとされていますが(同法13条2項4号)、改正法案ではそのような例外の定めはなく、一律に弁明の機会が付与されています。このように行政手続法第3章の規定を適用除外とする規定は、景品表示法(同法21条)、薬機法(同法75条の5の18)にも見られます。
※38
改正法案説明資料20頁
※39
なお、景品表示法上の「相当の注意を怠った者でないと認められるとき」という要件を充足しないものとして課徴金納付命令を取り消された例として、本稿執筆者の一名である森大樹が事業者側の代理人を務めた課徴金納付命令取消裁決平成30年12月21日があります。
本ニュースレターは、各位のご参考のために一般的な情報を簡潔に提供することを目的としたものであり、当事務所の法的アドバイスを構成するものではありません。また見解に亘る部分は執筆者の個人的見解であり当事務所の見解ではありません。一般的情報としての性質上、法令の条文や出典の引用を意図的に省略している場合があります。個別具体的事案に係る問題については、必ず弁護士にご相談ください。
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殿村桂司、工藤靖、早川健、犬飼貴之(共著)
論文/記事
(2026年4月)
早川健
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森大樹、日置巴美、萩原智治、尾島灯(共著)
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森大樹、関口朋宏、平山貴仁(共著)
論文/記事
(2026年2月)
殿村桂司、小松諒、カオ小池ミンティ、松宮優貴(共著)
論文/記事
(2026年4月)
早川健
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森大樹、日置巴美、萩原智治、尾島灯(共著)
ニュースレター
森大樹、関口朋宏、平山貴仁(共著)
ニュースレター
齋藤理、長谷川紘、宇波壮一郎(共著)
論文/記事
(2026年4月)
早川健
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森大樹、関口朋宏、平山貴仁(共著)
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鈴木明美、関口朋宏(共著)
論文/記事
(2026年4月)
早川健
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森大樹、関口朋宏、平山貴仁(共著)
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鈴木明美、関口朋宏(共著)
論文/記事
(2026年4月)
内海健司、鈴木謙輔(共著)