(1) Phase 1 reviewにおける簡易的な審査手続きの導入
従来、CCSはPhase 1 reviewについて、すべて原則30営業日以内に完了することとされていた。改正後は、競争上の懸念が明らかに存在しない案件(CCSは多数の案件がこれに該当すると想定しているとのことである。)については、簡易的な審査手続きが導入され、審査期間が25営業日に短縮されることとなった。なお、期間の初日は届出後最初の営業日である。
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※本ニュースレターは情報提供目的で作成されており、法的助言ではありませんのでご留意ください。また、本ニュースレターは発行日(作成日)時点の情報に基づいており、その時点後の情報は反映されておりません。特に、速報の場合には、その性格上、現状の解釈・慣行と異なる場合がありますので、ご留意ください。
シンガポール競争・消費者委員会(Competition and Consumer Commission of Singapore、以下「CCS」という。)は、今般、企業結合審査手続に関するガイドライン(CCS Guidelines on Merger Procedures、以下「本ガイドライン」という。)※1を改正し、2026年5月1日から施行された。
シンガポールにおいては、日本のように国内売上高等の形式的な基準により企業結合届出が要求されていない。もっとも、シンガポール競争法第54条は、実質的な競争制限をもたらすような合併等を禁止しているところ、合併等が同条に抵触のおそれがある場合には、合併等の当事者はCCSに任意に事前申請を行い、CCSの審査を仰ぐことができる。本ガイドラインは、かかる企業結合審査に関する手続き等を定めるものである。
今回の改正は、2025年に実施されたパブリックコンサルテーションを経て行われたものであり、企業結合審査の迅速化、透明性向上及び申請当事者の負担軽減を目的とするものである。
改正の主な内容は、以下のとおりである。
従来、CCSはPhase 1 reviewについて、すべて原則30営業日以内に完了することとされていた。改正後は、競争上の懸念が明らかに存在しない案件(CCSは多数の案件がこれに該当すると想定しているとのことである。)については、簡易的な審査手続きが導入され、審査期間が25営業日に短縮されることとなった。なお、期間の初日は届出後最初の営業日である。
従来、Phase 1 reviewの延長は例外的な場合にのみ認められていたが、延長可能期間について明確な上限は設けられていなかった。改正後は、CCSが追加的な審査を必要と判断した場合、最大20営業日の延長が可能となった。これによりPhase 1 reviewの期間は最大で50営業日までということとなる※2。
従来、申請当事者は、申請書(Form M1)について、confidential version(機密情報を含むもの)とnon-confidential version(機密情報を含まないもの)の双方を提出する必要があった。改正後は、confidential versionのみ提出すれば足りることとなり、non-confidential versionは、第三者との協議を円滑に進めることや、遅滞なくCCSの決定を公開できるようにするためにCCSが必要と判断した場合のみ提出を求める運用へ変更された。
Phase 1 reviewにおいてクリアランスを出すことが困難とCCSが判断する場合に発出するPhase 1 Issues Letterについても整理がなされた。CCSは、Phase 1 reviewの段階で実質的な競争制限の疑いがあると判断した場合、主要な競争上の懸念を明示し、当該懸念が未対応のままではクリアランスの付与が困難である旨を記載したレター(Phase 1 Issues Letter)を、申請当事者に送付する。Phase 1 Issues Letterには、問題解消措置等の提案期限が記載される。申請当事者は、かかるレターに応じて問題解消措置等を提案することが可能である(提案しないこともできる。)。かかる提案にもかかわらずCCSが競争法上の懸念を払拭できない場合には、Phase 2 reviewに進むこととなる。
Phase 1 reviewにおいて申請当事者から提出された問題解消措置等の審査期間(原則50営業日)について、従来は40営業日まで延長可能であったところ、改正後は延長可能な期間が最大20営業日に短縮された。
従来、CCSはPhase 2 reviewを120営業日以内で完了させることとされていたが、改正後は、この審査期間が100営業日に短縮された。
本ガイドラインの改正は、競争法上の懸念を生じさせる可能性の低い案件の迅速な処理、審査期間の短縮、申請当事者への早期かつ実質的な通知、申請書類提出負担の軽減等を通じて、シンガポールにおける企業結合審査手続の効率化及び透明性向上を図るものとなっている。
今後、日本企業が関わるクロスボーダーM&Aにおいて、CCSへの事前届出を行う場合には、改正内容を踏まえて取引実行までのスケジュールを検討することが必要となる。
※2
但し、第三者からの必要不可欠な情報提供の遅延等により十分な審査が困難である等の例外的な場合には、CCSはPhase 1 review の期間について申請当事者と協議を行うこととされている。
本ニュースレターは、各位のご参考のために一般的な情報を簡潔に提供することを目的としたものであり、当事務所の法的アドバイスを構成するものではありません。また見解に亘る部分は執筆者の個人的見解であり当事務所の見解ではありません。一般的情報としての性質上、法令の条文や出典の引用を意図的に省略している場合があります。個別具体的事案に係る問題については、必ず弁護士にご相談ください。
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