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フィリピンにおける外資規制の最新動向/第13次ネガティブリストの施行

著者等
箕輪俊介
出版社
長島・大野・常松法律事務所
書籍名・掲載誌
NO&T Asia Legal Update ~アジア最新法律情報~ No.285(2026年7月)
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※本ニュースレターは情報提供目的で作成されており、法的助言ではありませんのでご留意ください。また、本ニュースレターは発行日(作成日)時点の情報に基づいており、その時点後の情報は反映されておりません。特に、速報の場合には、その性格上、現状の解釈・慣行と異なる場合がありますので、ご留意ください。

1. はじめに

 フィリピンの外資規制は、2022年頃から小売業や公共サービス関連事業等を対象に段階的に規制を緩和している。これらの規制緩和を反映する形で2026年4月13日に大統領令にて新たなネガティブリストが公布されたため、本稿で紹介したい。

2. フィリピンの外資規制

 フィリピンにおける外資規制の大枠は、外国投資法(Foreign Investment Act of 1991)に規定されている。

 外国投資法では、外資規制の適用の有無に関して、大要以下のとおり事業分野の分類がなされている。

  1. 内資のみに認められており、外資による出資が一切認められない事業
  2. 外資による保有割合に一定の上限が設定されている事業
  3. 外資による保有割合に制限がない事業

 外国投資法上、上記のうち、①内資のみに認められた事業及び②外資による保有割合に一定の上限が設定されている事業はネガティブリストにおいて列挙するものとされている。また、このネガティブリストに記載のない事業については、③外資による保有割合に制限がないものとして整理される。

3. 第13次ネガティブリスト

 2026年4月13日に新たに公布されたネガティブリストは第13次ネガティブリストである。このうち、憲法・個別法に基づく外資規制を列挙したリストAにおける、第12次ネガティブリスト(2022年7月施行)からの変更点は大要以下のとおりである。変更点は太字・下線部分を参照されたい。

第12次ネガティブリスト 第13次ネガティブリスト
外資保有が全面的に禁止されている分野
  1. レコーディング及びインターネット事業(アクセスプロバイダ)を除くマスメディア
  2. 一定の専門職(エンジニア、会計士、建築士、環境設計、地質調査、薬剤師、看護、不動産サービスなどについては、相互主義がとられている。)
  3. 資本金額2,500万ペソ未満の小売り
  4. 協同組合
  5. 私立探偵、民間警備
  6. 小規模鉱業
  7. 領海、排他的経済水域等における海洋資源の利用等
  8. 闘鶏場の所有、運営、管理
  9. 核兵器の兵器の製造、修理、保管、流通
  10. 生物兵器や化学兵器等の製造、修理、保管、流通
  11. 爆竹その他花火製品の製造
  1. レコーディング及びインターネット事業(アクセスプロバイダ)を除くマスメディア
  2. 建築業務を行う法人
  3. 協同組合
  4. 民間警備
  5. 小規模鉱業
  6. 領海、排他的経済水域等における海洋資源の利用等
  7. 闘鶏場の所有、運営、管理
  8. 核兵器等の兵器の製造、修理、保管、流通
  9. 生物兵器や化学兵器等の製造、修理、保管、流通
  10. 爆竹その他花火製品の製造
外資保有の上限が25%の分野
  1. 雇用斡旋
  2. 防衛関連施設の建設
  1. 雇用斡旋
  2. 防衛関連施設の建設
外資保有の上限が30%の分野
  1. 広告
  1. 広告
外資保有の上限が40%の分野
  1. 一定のインフラプロジェクトへの入札
  2. 天然資源の調査・開発・利用
  3. 土地の所有
  4. 公共事業の管理・運営
  5. 教育機関の保有・設立・運営
  6. 米・トウモロコシの栽培、生産、精米、加工、取引
  7. 政府所有・管理法人等への物品供給契約
  8. 深海商業漁船の運航
  9. コンドミニアム・ユニットの所有
  10. 民間ラジオ通信ネットワーク
  1. 資本金額2,500万ペソ未満の小売り
  2. 天然資源の調査・開発・利用(太陽光、風力、水力及び海洋・潮力エネルギー等の再生可能エネルギー等を除く。
  3. 土地の所有
  4. 公共事業の管理・運営
  5. 教育機関の保有・設立・運営
  6. 米・トウモロコシの栽培、生産、精米、加工、取引
  7. 政府に対する物品の提供
  8. 政府によるインフラ事業への関与
  9. 政府に対するコンサルティングサービスの提供
  10. 商業漁船の運航
  11. コンドミニアム・ユニットの所有
外資保有の上限が50%の分野
  1. 通信事業の運営・管理(相互主義が認められない場合。相互主義を認める場合には、外資規制の適用はなく、外資が100%で従事することが可能)

4. 変更のポイント

 第13次ネガティブリストは、2026年5月1日より施行されている。従前は、外資規制の変更が個別になされていたため、最新の外資規制の概要は、個別の変更とネガティブリストをあわせて確認をしなければならない状況にあった。今般のネガティブリストの更新により、最新の外資規制の内容がネガティブリストに反映されたため、ネガティブリストを通じて外資規制の最新の状況が一覧性をもって確認ができるようになった。前回のネガティブリストである第12次ネガティブリストからの主たる変更は以下のとおりである。

1. 小売事業

フィリピンでは小売事業に対しては従前厳しい外資規制が設けられており、資本金額2,500万ペソ未満の小売りの外資の参入は禁止されていた。

この規制が2022年の法改正により緩和され、資本金額2,500万ペソ未満の小売りも外資の出資比率が40%を上限として認められるようになった。

2. 公共サービス

フィリピンでは外資規制の対象になる「公共事業」の定義がなされておらず、長らく公共事業に関する外資の参入の障害となっていた。

この定義が2022年の法改正により明確化され、配電事業、送電事業等が「公共事業」の対象となることが明らかとなり、その他の事業は外資規制の対象となる「公共事業」ではないことが明らかとなった。

3. 再生可能エネルギー事業

フィリピンでは電力事業は一律に外資の出資比率が40%を上限とされていた。

この規制が2022年の法改正により緩和され、太陽光発電、風力発電、海洋・潮力発電、バイオマス発電、水力発電、一部の大規模な地熱発電といった再生可能エネルギーに関しては原則として外資規制の適用はなくなり、外資が100%で従事することが可能となった。

4. その他

上記に加えて以下の点については留意されたい。

  • 外資保有が全面的に禁止されている分野として、第12次ネガティブリストに列挙されていた一定の専門職は、第13次ネガティブリストでは削除されている。しかしながら、これは、一定の専門職への参加が解禁されたという意味合いではなく、これらの業種は引き続き個別法にて規制がなされることになるため、留意が必要である。
  • ネガティブリストのうち、安全保障、防衛、公衆衛生、公序良俗への脅威及び中小企業の保護等の理由で外資規制を課す事業をリスト化したものがリストBである。このリストBにおいて、軍需品(軍事技術、兵器システム、武器等)の開発、製造、生産、組立、保守又は運用に関する事業が追加され、これらの事業における外資の出資比率に40%の上限が加わったため留意されたい。

本ニュースレターは、各位のご参考のために一般的な情報を簡潔に提供することを目的としたものであり、当事務所の法的アドバイスを構成するものではありません。また見解に亘る部分は執筆者の個人的見解であり当事務所の見解ではありません。一般的情報としての性質上、法令の条文や出典の引用を意図的に省略している場合があります。個別具体的事案に係る問題については、必ず弁護士にご相談ください。


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