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「企業買収における行動指針」のポイント・Q&A等の公表 ~取締役会の対応と買収実務への示唆~
斉藤遼太
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※本ニュースレターは情報提供目的で作成されており、法的助言ではありませんのでご留意ください。また、本ニュースレターは発行日(作成日)時点の情報に基づいており、その時点後の情報は反映されておりません。特に、速報の場合には、その性格上、現状の解釈・慣行と異なる場合がありますので、ご留意ください。
経済産業省は、2026年7月30日、2023年8月に公表した「企業買収における行動指針」(「本指針」)について、本指針を維持することを前提に、買収を巡る関係者※1において本指針の趣旨がより適切に理解されることを目的として、「『企業買収における行動指針』の解釈について」、「『企業買収における行動指針』のポイント」(「本ポイント」)及び「『企業買収における行動指針』Q&A」(「本Q&A」)を公表しました※2。
いずれも、本指針の基本的枠組みを変更するものではなく、「本指針の解釈について」は、「公正な買収の在り方に関する研究会」(「本研究会」)再開の背景、審議等の経過、並びに本指針の「ポイント」及び「Q&A」の策定の趣旨を整理したものです。これによると、本ポイントは、上場企業の役員や買収者が、本指針の原則論や留意点等の要点を理解できるよう整理したものであり、本Q&Aは、対象会社の取締役・取締役会が、買収提案の検討、買収に応じるか否かの判断、複数の買収提案の中からの選択を行うに当たって悩む点等を整理したものである、とされています。したがって、本ポイント及び本Q&Aは本指針の基本的考え方を、具体的な事案に応じた判断枠組みを検討する上での手がかりとして理解することができます。
本ニュースレターでは、実務において最も参照される場面が多いと考えられる本Q&Aの各問が示す実務上のポイントを、本指針や本ポイントにも触れつつ解説します※3。
この問いでは、過去の株価水準よりも相応に高い買収価格が提示された場合や、複数提案のうち一方がより高い買収価格を提示している場合に、それだけで「望ましい買収」といえるのかが扱われています。
本Q&Aでは、「望ましい買収」は、①対象会社の企業価値が向上し、②その企業価値の増加分が適正な取引条件により買収者・株主間で公正に分配されることにより株主共同の利益が確保される、という一連の流れを満たす買収こそが「望ましい買収」である、つまり、対象会社の企業価値が向上することが、望ましい買収の前提であるとしています。そのため、望ましい買収は、対象会社の①企業価値の向上と②株主共同の利益の確保の双方に資する買収を意味し、より高い買収価格であることのみをもって「望ましい買収」に当たるものではなく、常に、相応に高い買収価格の提案に応じなければならない、又は複数の提案のうち高い買収価格の提案を選択しなければならないという考え方を明確に否定しています※4。
もっとも、高い買収価格は買収後の対象会社の企業価値を示す重要な要素であることには留意する必要があるとされており、対象会社の取締役・取締役会は、「真摯な買収提案」に対しては、企業価値の向上に資するかどうかの観点から、買収に応じるかどうかを真摯に検討することになり、買収に応じる⽅針を決定する場合には、株主共同の利益を確保するために、買収者による取引条件の引上げを⽬指して合理的な努⼒を⾏うべきであることにも注意が必要としています。
この問いでは、どのような提案が「真摯な買収提案」に該当するかが取り扱われています。「真摯な買収提案」とは、①具体性、②目的の正当性、③実現可能性のある買収提案を意味し、これらが合理的に疑われる場合には、「真摯な買収提案」に当たらないと判断することもあり得るとしています。合理的に疑われるか否かについては、例えば、以下の各要素を総合的に考慮することになるとしています。
| 分類 | 合理的に疑われる場合の例 |
|---|---|
| ① 具体性 | 買収ストラクチャー、買収対価の額や種類、取引実行の前提条件やスケジュール等の取引の主要条件が具体的に明示されない買収提案 |
| ② 目的の正当性 | 経営支配権を取得した後の経営方針が示されない買収提案 |
| (他の買収者がいる状況において)買収価格を吊り上げる目的で行われる買収提案 | |
| 競合他社により、情報収集等を行う目的で行われる買収提案 | |
| ③ 実現可能性※5 | 買収資金の裏付け(残高証明書、融資証明書・コミットメントレターその他資金調達の確度が高いことを示すために金融機関が出すレター等)のない買収提案 |
| 当局の許認可(例えば、独禁法・外為法等の許認可)等買収実施の前提条件が得られる蓋然性が低く、客観的に見て実施に至ることが期待できない買収提案 | |
| 支配株主が保有する支配的持分を第三者に売却する意思がないことが判明している中における支配的持分の買収提案 |
ただし、これらの各要素は総合考慮のための例示であり、いずれかに該当すれば直ちに真摯性が否定されるわけではなく、また、これらに該当しなければ直ちに「真摯な買収提案」として扱うべきとの帰結が導かれるものでもないとしています。また、取締役会は、「真摯な買収提案」を恣意的に解釈し、真摯な検討を避けないよう留意する必要があるとしています※6。
この問いでは、「真摯な買収提案」を受領した取締役会は、「真摯な検討」として、具体的に何をどのような情報に基づいて検討すべきか取り上げています。以下は、本Q&Aにおいて説明されている内容を、項目ごとに整理したものです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 取締役会の裁量 | 取締役会は、真摯な検討を行った上で、(どの)買収提案に応じるか、又はスタンド・アローンや第三者との提携・協業等を含む戦略的選択肢を選択するかについて、経営判断の原則に基づく広い裁量をもって判断する。 |
| 「真摯な検討」の検討方法 | 真摯な検討においては、企業価値の向上に資するかどうかの観点から、買収に応じるかどうかを検討する。 |
| 「真摯な検討」の考慮要素の例 | <買収者に関する考慮要素> 買収者・出資者の属性(コンプライアンス遵守状況や体制を含む)、資力、トラックレコード(過去の投資行動、買収を最後まで遂行した実績、買収した会社の企業価値向上を実現した実績など)、経営能力、買収後の経営方針等 |
| <取引条件に関する考慮要素> 買収価格、買収ストラクチャー、取引実行の前提条件、買収価格の算定基礎に関する事項、対象会社の資産を買収資金に充当する予定の有無・内容※7等 |
|
| <実現可能性に関する考慮要素> 買収の実現可能性・実現時期(許認可取得の蓋然性・取得時期)、企業価値向上策の実現可能性・実現時期 |
|
| 情報収集 | 買収提案についての追加的な情報を得るために、合理的な範囲で、買収者に対して質問を行うことが考えられる。※8 買収者においては、対象会社から受領した質問に対して、対象会社が企業価値の向上に資するかどうかを判断するために必要な情報(買収者のトラックレコード、シナジーやディスシナジーの有無・程度を検討するのに有益な情報等)を、合理的な範囲で、具体的に(定量化が可能な事項については定量的に)回答することが望ましい。 |
| 比較検討の方法 | ①買収者が提示する買収価格・企業価値向上策(買収者が提示する新たなビジネスモデルやイノベーション、買収者の経営資源によりもたらされるシナジー等)と、②対象会社によるスタンド・アローン等の企業価値向上策を比較する。 取締役会は、上記①及び②について、いずれがより中長期的な企業価値の向上に資するか、シナジーとディスシナジーの双方を考慮※9した上で、定量的な観点から十分に比較検討することが望まれる※10。ただし、①について、定量的な分析が困難である場合には、買収者による定性的な説明が合理的・説得的であるか等を確認することにより代替することも考えられる。 |
| 説明責任 | 買収提案が公表された場合等には、取締役会は、買収提案への対応や判断の合理性について説明責任を果たすことが求められる。株主から説明を求められた場合に、必ず定量的な観点から説明しなければならないわけではなく、その内容や程度については個別の事案に応じて判断されるべきであるが、仮に定量的な観点から株主に説明することが困難である場合には、株主に対する説得力のある説明が求められる。 |
| 買収に応じないと経営判断した場合の留意事項 | 買収の成否を最終的に決定するのは株主であるため、結果的に買収が成立する可能性があることにも留意が必要。また、対象会社の取締役・取締役会は、自社の企業価値向上策を実行し、当該買収により想定される企業価値を中長期的に超えることで、株主共同の利益を確保することが期待される。 |
この問いでは、「企業価値」の意味と、従業員・取引先等のステークホルダーの意向、サプライチェーン強靱化の対策、経済安全保障への対応をどのように考慮できるかが扱われています。
本指針2.2.2は、企業価値とは、「企業が将来にわたって生み出すキャッシュフローの割引現在価値の総和」とする定量的な概念と定義しています。
もっとも、本ポイント及び本Q&Aにおいて、企業価値が定量的概念であることは、定性的要素を一切排除する趣旨ではないとしています。具体的には、従業員・取引先等のステークホルダーの貢献、ガバナンス体制、多様なステークホルダーに配慮したサステナブルな事業活動、経済安全保障に対応する経営等、一見すると定性的に見える要素であっても、将来キャッシュフローの増加又は割引率に影響が生じることが合理的に見込まれる場合には、当該買収提案による企業価値の向上を検討する際に考慮することができるとしています。
本研究会再開時に示されていた成長投資・経済安全保障を企業価値評価の文脈でどのように考えるかという問題意識※11は、ここで具体化されています。例えば、サプライチェーン強靱化や技術情報流出防止は、法令遵守や政府からの要請への受動的対応にとどまらず、将来キャッシュフローを増加させ、又は割引率を低下させる要素となり得ます。他方で、調達先の変更によるサプライチェーンの脆弱化、技術情報の流出、重要人材の離職、主要取引先との関係悪化が合理的に見込まれる場合には、それらが企業価値に与える影響を検討対象に含めることができるものと考えられます。
ただし、本Q&Aは、測定困難である定性的な価値を過度に強調して「企業価値」の概念を不明確にしたり、経営陣の保身のために用いたりすることを戒めています。そのため、買収により、将来のキャッシュフロー⼜は割引率に影響が⽣じることが合理的に⾒込まれる場合には、当該影響については、定量化することが望ましいと考えられます。仮に定量化することが困難である場合には、株主に対する説得⼒のある説明が求められるとしています※12。
この問いでは、高い買収価格が示されていても、その提案が企業価値の向上に資さない場合や、最も企業価値の向上に資する提案と最も買収価格が高い提案が一致しない場合が扱われています。
本Q&Aでは、買収者が提示する買収価格は、一般的には、「買収による対象会社の企業価値の向上の見込み」という買収者の評価であると考えられ、買収価格は、買収後の対象会社の企業価値を示す重要な要素になるため、買収者が、過去の株価水準よりも相応に高い買収価格を示した場合には、企業価値を高めることが合理的に期待し得ること、また、全部買収を目的とする真摯な買収提案が複数存在する場合には、企業価値の向上により資する提案と、一般株主が享受する利益(買収価格)がより大きい提案とは通常は一致するものと考えられるとしています。
他方、例外的に買収後の対象会社の企業価値と買収価格が見合わない場合があり得ることも認めており、例えば、①買収により対象会社の将来キャッシュフロー又は割引率に悪影響が生じることが合理的に見込まれる場合であって、かつ、②買収者が、a)従業員・取引先、地域経済や地球環境を含む多様なステークホルダーの取り分を不当に減らして株主の取り分を増やす場合、又はb)買収後の対象会社の企業価値を過大評価している場合※13といった理由により高い買収価格を提示できる場合に、例外的に、買収後の対象会社の企業価値と買収価格が見合わない場合があり得るとしています。
もっとも、対象会社の取締役会は、問3及び問4の枠組みに沿って、買収者やステークホルダーから必要な情報を収集し、買収者が提示する買収価格が買収後の企業価値に見合っているかを検討するとともに、「買収後の企業価値と買収価格が見合っていない」という判断をする場合には、株主に対して説得力のある説明を準備することが求められるとしています。
この問いでは、対象会社が買収に応じる方針を決定※14し、複数の買収提案を検討する場面で、常に最も買収価格が高い提案を選択しなければならないのか、また、より高い買収価格の提案がある中で、取締役会が最も企業価値の向上に資する提案と考える他の提案に賛同することができるかが扱われています。
本Q&Aでは、本指針は、対象会社が買収に応じる方針を決定する場合であっても、対象会社の企業価値を向上させるか否かの観点から判断することを求めるものであり、米国デラウェア州法上のレブロン義務のように、会社売却局面で株主利益(価格)のみを考慮する義務を定めるものではないことを前提に、対象会社の取締役・取締役会は、株主が享受すべき利益が確保される取引条件を目指して合理的な努力(真摯な交渉や他の買収候補の模索等)を行うことが求められるとしており、通常は、かかる努力を行うことにより、①最も企業価値の向上に資する提案と、②最も株主利益が確保される提案(買収価格が高い提案等)が一致するものと考えられるとしています。
このような努力を貫徹しても、なお、最も企業価値の向上に資する提案と最も株主利益が確保される提案が異なる場面は例外的と考えられるが、取締役会は、株主に対して十分な説明責任を果たした上で、①最も企業価値の向上に資する提案に賛同すると経営判断することもできるとしています。
ただし、買収の成否を最終的に決定するのは株主であるため、結果的に、取締役会の判断とは異なる提案(②最も買収価格が高い提案等)に係る買収が成立する可能性があることには留意が必要としています。
ここでは、本指針のベストプラクティスを参照して行動した場合の効果について言及しています。
具体的には、本指針は上場会社の経営支配権を取得する買収を巡る当事者の行動の在り方について、経済社会において共有されるべき原則論及びベストプラクティスを提示するものであり、会社法上の善管注意義務・忠実義務を直接整理することを目的とするものではないものの、本指針を参照して行動することにより、取締役の善管注意義務・忠実義務違反のリスクを下げることが期待されるものであるとしています。
本Q&Aは、取締役会が、買収に応じるか否かについて、経営判断の原則に基づく広い裁量を有していることを前提に、取締役会が真摯な検討を行った上で買収に応じないと経営判断した場合、結果的に当該買収が成立したとしても、その判断自体が直ちに善管注意義務違反になることは基本的に想定されないとしています。同様に、買収に応じる方針を決定した後、合理的な努力を尽くした上で最も企業価値の向上に資する提案に賛同した場合も、結果として別の高い買収価格の提案が成立したことだけで、最も企業価値の向上に資する提案に賛同するという取締役の経営判断それ自体が善管注意義務違反になることは基本的には想定されないとしています。
ただし、取締役は、会社の企業価値を向上させる責務を果たすために、本指針の提示するベストプラクティスを参照し、行動することが期待されるとしています。
本研究会の直接の議論の対象ではないものの、第11回資料※15では、本研究会において個別の委員から最近のM&Aを巡る状況を踏まえた問題提起が示された事項が記載されています。具体的には、積極的マーケット・チェック、取引保護条項、応募推奨、フェアネス・オピニオン、再出資、予告TOB、短期売買利益返還規制、アクティビストとPEファンドの水面下での連携、現金対価の全部買収の場合における企業価値向上と株主の役割等について言及がなされています
また、自由民主党政務調査会司法制度調査会「成長志向型コーポレートガバナンスPT」が、2026年7月29日、「企業価値を伸ばし続けるガバナンス改革への提言―経営力の向上、制度のイコールフッティング、法執行の強化―」※16を公表し、その中で、アクティビストの活動が経営改善等に繋がった例を紹介するとともに、乱用的なアクティビズムとして企業価値の向上の観点や公正性の観点から懸念ある事例の指摘として、アクティビストとPEファンドの水面下での連携が疑われる事例や、アクティビストによる再出資について言及しています。また、同提言では、これに関連し、株主提案権の行使要件の引き上げ、株主提案権の範囲の限定、臨時株主総会招集請求権の行使要件の引き上げ、実質株主確認制度の創設、大量保有報告制度を含む開示規制違反等に関する法執行の強化、について言及がなされており、会社法については、これらの内容を一部含む要綱案が法制審議会(会社法制(株式・株主総会等関係)部会)で議論されています。
これらは、買収を巡る実務が政策・法制度の動向と連動していることを示すものであり、引き続き、これらの動向も併せて注視していく必要があります。
本ポイント・本Q&Aは、本指針の基本的な考え方を変更するものではなく、2023年の本指針策定以降、本指針の趣旨について十分に理解されていない可能性がある点を具体化したものであり、今後、買収を巡る関係者の共通言語として機能することが想定されるものであり、上記で取り上げたいずれの論点も、対象会社の取締役会、買収者、株主のいずれの立場からも、共通の判断枠組みとして参照されるべきものです。
上場会社の経営支配権を取得する買収を巡る当事者の行動の在り方を検討・理解するに当たっては、本指針に加えて、今回公表された本ポイント・本Q&Aの記載を確認し、十分に理解しておくことが極めて重要です。本ニュースレターがその一助となれば幸いです。
※1
「特に対象会社となり得る上場企業の取締役や、買収提案を行う買収者、最終的に買収の成否を決定する一般株主」とされています。
※3
なお、本Q&Aでは、本ニュースレターで紹介する各問に加えて、「(参考)本指針策定後の法制度等の変化」に言及がなされていますが、テクニカルな内容であるため、本ニュースレターでは言及しておりません。
※4
本Q&A問5も参照
※5
③の要素については、買収提案を受けた当初の段階(デュー・デリジェンスを実施する前の段階)においては、デュー・デリジェンスを踏まえた金融機関との交渉等、必要な手続や問題解消措置を講じること等、対象会社による支配株主への働きかけ等により、実現可能性を高める余地があり得るため、当初の段階から実現可能性がないと判断することが不適切な場合もあり得る点に留意が必要とされています。
※6
本指針3.1.2
※7
本Q&Aでは、ファイナンシャル・バイヤーによる買収であることのみをもって、真摯な提案の目的の正当性が否定されることにはならないことを前提に、ここでは、「例えば、対象会社の事業上必要な資産を売却する場合であっても、当該売却代金を成長投資の原資とし、収益力を高める場合には、企業価値の向上に資するものと考えられる一方、当該売却代金の全てを買収価格の原資とする場合には、企業価値の向上に資さない場合もあるものと考えられる」としています。
※8
なお、買収者に対する質問については、詳細な質問を過度に買収者に対して行うことが、実質的に経営支配権を取得する買収を阻止するための措置として行われてはならないことには留意が必要とされています。
※9
買収によりディスシナジーが生じる可能性があることをもって直ちに買収提案を断るのではなく、①シナジーからディスシナジーを控除することにより導かれる買収による企業価値の向上と②スタンド・アローン等による企業価値の向上を比較検討することが求められるとされています。
※10
なお、「買収者が提示する企業価値向上策は、新たなビジネスモデルへの転換を想定している等の場合によっては、対象会社の既存のビジネスモデルを前提とした企業価値評価とは前提条件等が異なり得る点に留意が必要」とされています。
※11
「公正な買収の在り方に関する研究会」の第9回資料「事務局説明資料」17頁。
※12
また、本Q&Aでは、対象会社の取締役・取締役会としては、将来のキャッシュフロー又は割引率への影響を検討するために、対象会社の従業員や取引先等のステークホルダーに対して、買収成立後の具体的な意向を確認することも考えられるとされています。ただし、その際には、情報漏洩やインサイダー取引を防止すべく情報管理を徹底した上で、当該ステークホルダーが、取締役・取締役会の意向を斟酌することなく自由に意向を表明できるよう留意する必要があるともされています。
※13
買収により対象会社に生じるシナジーを過大評価している場合、ディスシナジーを過小評価している場合、買収者が認識していない対象会社のリスク要因が買収価格に反映されていない場合等も含まれるとしています。
※14
例えば、①対象会社として積極的に経営支配権の移転に係る買収提案を模索し提案の選択や条件の設定の交渉に入った場合や、②経営支配権を取得する旨の買収者からの提案に応じる方向で合意に向けた交渉に入った場合等が該当し得るとされています。
※15
「公正な買収の在り方に関する研究会」の第11回資料「(修正版)公正な買収の在り方に関する研究会において個別の委員から問題提起が示された事項」
本ニュースレターは、各位のご参考のために一般的な情報を簡潔に提供することを目的としたものであり、当事務所の法的アドバイスを構成するものではありません。また見解に亘る部分は執筆者の個人的見解であり当事務所の見解ではありません。一般的情報としての性質上、法令の条文や出典の引用を意図的に省略している場合があります。個別具体的事案に係る問題については、必ず弁護士にご相談ください。
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