(1) 改定内容
改定案では、企業結合後において、当事会社グループの効率性の向上により、以下の競争促進効果が見込まれる場合には、競争に与える影響の判断において考慮されることが、新たに明記されました。
- 当事会社グループが供給する商品※7についての、供給の安定性の改善
- 環境性能の向上(温室効果ガスの削減等)
- 当事会社グループの投資拡大やイノベーション促進による、商品の生産量の増加、品質向上、新商品の創出
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※本ニュースレターは情報提供目的で作成されており、法的助言ではありませんのでご留意ください。また、本ニュースレターは発行日(作成日)時点の情報に基づいており、その時点後の情報は反映されておりません。特に、速報の場合には、その性格上、現状の解釈・慣行と異なる場合がありますので、ご留意ください。
公正取引委員会(以下「公取委」といいます。)は、2026年7月17日に、「企業結合審査に関する独占禁止法の運用指針」(以下「企業結合ガイドライン」といいます。)の改定案(以下「改定案」といいます。)を発表しました※1。
現行の企業結合ガイドラインは、2004年(平成16年)に公取委によって作成・公表された後、随時改定されてきましたが、今回の改定案では、供給の安定性の改善・維持や環境性能の向上、投資拡大・イノベーションの促進による新商品の創出等が、企業結合審査において考慮されることが明記される等、実務へのインパクトが見込まれる内容となっています。
本ニュースレターでは、改定案の背景及び公取委が主要なポイントとして挙げる改定内容※2について整理します。
公取委が改定の背景・経緯として挙げた事情は以下の4点です。
公取委は、改定の背景の1点目として、デジタル技術の進展、気候変動問題、人口減少による市場縮小等、日本を取り巻く経済環境が変化する中、イノベーションを促進し、国際競争力を強化することの重要性が高まっていることを指摘しています。
公取委は、2026年1月に「イノベーションの促進に向けた競争政策の積極的展開~変化の時代における公正取引委員会の役割~」と題する文書を公表し、イノベーションの促進を目指して競争政策を展開する方針を明らかにしました※3。この文書が改定案の冒頭で言及されていることや、改定案がイノベーションへの考慮を明示したこと(後記2(1)参照)からも明らかなとおり、改定案は、上記文書に示された公取委の全体的な方針と軌を一にするものです。
改定の背景の2点目として、公取委は、世界の経済情勢等の変化により、供給の安定性の改善・維持や環境性能の向上等が重要な社会的課題になっていることを挙げています。
新たな社会的課題の1つである経済安全保障について、公取委は、2025年11月に「経済安全保障に関連した事業者の取組における独占禁止法上の基本的な考え方」及び「経済安全保障と独占禁止法に関する事例集」を公表しました。これらの文書で、公取委は、経済安全保障に関連する問題について、企業結合規制を含む独占禁止法上の論点を整理すると同時に、具体的な想定事例を前提とした考え方を明らかにしました※4(当事務所独占禁止法・競争法ニュースレターNo.48参照※5)。これらの文書の中で示された考え方は、必ずしも目新しいものではありませんでしたが、経済安全保障のような新しい社会的課題への対応について、公取委が考え方を明らかにしたことには一定の意義がありました。今回のガイドライン改定は、社会的課題を踏まえた企業結合規制のあり方について、公取委が自らのスタンスを積極的に明らかにしようとする姿勢をさらに進めるものと評価できます。
改定の背景の3点目として、公取委は、近年の企業結合審査では、海外からの競争圧力の増加や人口減少に伴う市場縮小等の、日本経済の実態を踏まえつつ審査を行った事例が蓄積したことを指摘しています。この指摘は、今回の改定案が、基本的には、これまでと異なる考え方を導入するのではなく、実務上既に採用されている考え方をガイドラインに反映するものであることを示唆するものです。
改定の背景の4点目として、公取委は、米国、欧州、英国等で新しいガイドライン制定等の動きがあることを挙げています。これらの中で特に注目され、かつ、公取委も改定のポイントの中で特に言及しているのは、欧州委員会が2026年4月30日に公表した企業結合ガイドライン案です※6。
改定案における改定箇所は、企業結合ガイドラインの全体(問題解消措置に関する記載を含む。)に及び、改定事項も多岐にわたりますが、このニュースレターでは、公取委自身が「改定のポイント」と位置づける、以下の1から3の事項について説明します。
改定案では、企業結合後において、当事会社グループの効率性の向上により、以下の競争促進効果が見込まれる場合には、競争に与える影響の判断において考慮されることが、新たに明記されました。
改定案では、上記(1)の事項が「効率性」という判断要素に位置づけられています。ここで言う「判断要素」とは、企業結合ガイドラインにおいて、競争の実質的制限についての判断要素として列挙されている事項を指します。企業結合ガイドラインには、判断要素として、その存在が認められれば企業結合が認められる方向に作用するものが多く挙げられており(輸入、参入、隣接市場からの競争圧力、需要者からの競争圧力等)、効率性(の向上)もその一つです。
効率性という判断要素自体は、従前から企業結合ガイドラインに記載されています。しかし、元来は、企業結合の結果として効率性が向上して限界費用が低下し、それが市場価格の低下という形で需要者に還元される場合が想定されていました※8。また、企業結合ガイドライン上、効率性の向上の要件として、①企業結合固有の効率性向上であること、②効率性の向上が実現可能であること及び③効率性の向上により需要者の厚生が増大するものであることという、厳格な3つの要件が規定されている上、「なお、独占又は独占に近い状況をもたらす企業結合を効率性が正当化することはほとんどない。」という「なお書き」が付されています※9。このような規定ぶりを受けて、過去に効率性の向上が認められた事案はあまり見られませんでした。
他方、最近、いわゆるグリーンガイドライン※10に沿った検討の結果、環境性能の向上の観点から効率性の向上を認めた事案が登場し、効率性についての公取委のスタンスの変化がうかがわれるところではありました※11。
今回の改定案は、このスタンスの変化をさらに推し進めるものと考えられます。
まず、供給の安定性の確保等、必ずしも限界費用の低減とは関係がなく効率性として評価されるか否かが明らかでなかった事情について、効率性の一環として評価されることが明確になりました。
また、これらの競争促進効果は例示と考えられ、公取委は、効率性の向上として考慮する競争促進効果を、記載された事項に限定する趣旨ではないと考えられます。
さらに、前述したなお書きは、改定案では「企業結合により失われる競争の程度が大きい場合、そのような企業結合が効率性の向上によって正当化されるためには、効率性の向上による競争促進効果の程度が、失われる競争の程度よりも大きく、かつ、当該効果が確実にもたらされる必要がある」と変更され、依然として相応の限定が課されているものの、企業結合の結果独占又は独占に近い状況となるという理由のみで、効率性の向上が否定されるわけではないことが示されました。
他方で、改定案では、企業結合が独禁法違反となる場合の実質的要件である「競争を実質的に制限することとなる」の説明において、「ここで、(筆者注:価格、品質、数量と並んで、競争の手段となる)その他各般の条件としては、例えば、支払条件、供給時期・物量・品揃え等の供給の安定性、温室効果ガス排出量等の環境性能、個人情報の保護等、需要者が商品を選択するに当たり重視する事項が挙げられる。」との記載が追記されました※12。この追記の趣旨は必ずしも明らかではありませんが、例えば供給の安定性の向上が効率性の向上として認められるためには、当該商品の取引において、供給の安定性の改善が、価格等と同様の競争手段として「需要者が商品を選択するに当たり重視する事項」であることが求められるとも考えられます。
また、前述した効率性についての3つの要件は、従前どおり維持されています。特に「③効率性の向上により需要者の厚生が増大するものであること」の要件に関しては、効率性の向上が当該商品の需要者にどのようなメリットをもたらすのかが論点となります。今後は、これらの要件やなお書きがどの程度厳格に運用されるのかが注目されます。
これまでの企業結合ガイドラインでは、企業結合が認められる方向に作用する判断要素の代表格とも言える「輸入」(輸入圧力の存在)について、「輸入圧力が十分働いているか否かについては、(略)商品の価格が引き上げられた場合に、輸入の増加が一定の期間に生じ、当事会社グループがある程度自由に価格等を左右することを妨げる要因となり得るか否かについて考慮する。」(下線は筆者)とした上で、上記「一定の期間」については、「おおむね2年以内を目安とするが、産業の特性によりこれよりも短期間の場合もあれば長期間の場合もある」と記載されていました※13。「参入」(参入圧力の存在)の判断要素についても同様でした。その結果、企業結合審査において、輸入圧力や参入圧力が当事会社に対する競争圧力として認められるためには、原則として、おおむね2年以内にこれらの競争圧力が顕在化することを示す必要があると考える向きもありました。
他方、これまでの企業結合ガイドラインでも、上記のとおり、より長期間の市場の状況を考慮する可能性があることは明記されていました。実際の事例でも、例えば、現状では輸入はほとんど行われておらず、海外製品は輸送費やリードタイム等の点で国内製品に劣るものの、海外製品は国内製品と比較して機能・効用等には大きな差はないことを理由に、輸入圧力を一定程度認めた事例等、輸入圧力を柔軟に認めたことがうかがわれる事例がありました※14。
改定案では、上記の記載が「ここでいう「一定の期間」は、産業の特性等により異なる。将来見込まれる市場構造の変化等により、その時点で輸入圧力が働く場合には、当該将来時点での競争状況を踏まえて審査を行う。なお、この期間については、2年以内を目安としつつ、それより後に輸入増加が生じる場合も輸入圧力として考慮してきたところであり、今後も、産業の特性等を踏まえ実態に応じて判断していくこととなる。」との記載に変更され、より長期間の市場の状況が考慮され得ることを、一層明確に表現する文章に変更されました。また、同じ考え方が、参入、隣接市場からの競争圧力、需要者からの競争圧力、効率性等の判断要素にも適用されることも明記されました。
ただし、長期間にわたる市場の状況が考慮されることには、別の影響もあり得ます。新日本製鐵(株)と住友金属工業(株)の合併の事案では、無方向性電磁鋼板について、輸入圧力について否定的な判断がなされ、その他の競争圧力も認められなかったことから、5年間のコストベースの引取権の設定という問題解消措置がとられることとなりました※15。この措置の期間が5年間とされた理由について、公取委は「特に高グレードの製品については,現時点では輸入圧力が認められないが,(略)当事会社の提案する合併後5年間を経過した後であれば,高グレードの製品を含めて輸入圧力が働く蓋然性は高いと考えられる」と説明しました。この事案の考え方に基づくと、当事会社が相当先の時点における輸入圧力の顕在化を主張し、これが公取委に受け入れられた場合、その議論は問題解消措置の期間設定に影響し得ると考えられ、注意が必要です。
改定案では、近年の企業結合審査事例で既に採用されていた考え方を反映する改定が行われています。以下(1)から(3)では、その主なものについて説明します。
企業結合ガイドライン上、関税の存在は、輸入圧力を否定する方向に働く事情と位置づけられています※16。この点について、改定案では「例えば、関税の存在を考慮しても輸入品が競争力を有することはあり、そのような場合には、関税が存在すること自体をもって、直ちに輸入圧力が低いと判断されるものではない。」との記述が追加されました。
もっとも、これまでの企業結合ガイドラインの記載からも、関税の存在は輸入圧力を考慮するための一材料にすぎないことは明らかでした。また、関税が存在するにもかかわらず輸入圧力を肯定した事例がある一方で※17、関税の存在を理由に輸入圧力を簡単に否定したように見える事例もありました※18。結局、関税が存在する場合に輸入圧力をどのように評価するかは、関税の程度や実際の輸入の状況等により異なり、ケースバイケースで判断されるところ、上記の追記は、このような公取委の運用をより丁寧に説明するものと考えられます。
改定案では、「隣接市場からの競争圧力」という判断要素に関して、「間接的類似品」というコンセプトが新たに記載されました。「間接的類似品」とは、例えば、審査対象となっている商品を原材料として製造される完成品と類似する商品がこれに当たります。改定案は、当事会社グループが審査対象となっている商品(原材料)の価格を引き上げ、その結果完成品の価格が上昇した場合に、間接的類似品が完成品の価格上昇に対する牽制力として機能するような場合には、当該間接的類似品の存在が、審査対象商品(原材料)の審査において判断要素となり得ることを明記しました※19。このような考え方を採用した事例は既に存在しており、今回の追記はこの考え方を明確にするものです※20。
「需要者からの競争圧力」という判断要素に関しては、これまでの事例で採用された考え方を踏まえて、改定案で複数の追記がなされています。その一つが「他の商品における需要者の対抗的な交渉力」です。例えば、需要者が当事会社から、企業結合審査において問題となっている商品Aのほかに、別の商品Bも購入している場合であって、仮に企業結合後の当事会社が商品Aについて価格を引き上げた場合には、需要者が対抗手段として商品Bの購入量を減らすことが見込まれ、これにより当事会社が商品Aの価格を引き上げられない事態が考えられます。このような場合に、一定の条件下で、商品Aについて需要者からの競争圧力が働いていると評価するものです。この考え方は、「江戸の敵を長崎で討つ」という慣用句にちなんで「江戸・長崎論」と呼ばれることがあり、これまでに複数の事例でこの考え方が採用されました※21。改定案では、江戸・長崎論についての新たな項目を設けて詳細に記載されました。
改定案では、欧州企業結合ガイドライン案の記載事項に倣い、購入市場における競争分析が行われることがあること※22や、混合型企業結合において、データの集積等や需要者の囲い込み等により、当事会社グループの総合的な事業能力が増大し競争力が著しく高まる問題への言及※23が追加されています。
ただし、改定案は、欧州企業結合ガイドライン案が採用したコンセプトを全て取り入れたわけではありません。また、欧州企業結合ガイドライン案は水平型・垂直型・混合型という企業結合の分類方法を採用していませんが、改定案は上記の枠組みは維持している等、相違点も多く目につき、公取委にとって改定案が欧州の後追いではないことがうかがわれます。
仮に改定案がこのまま成案となった場合、以下のような影響が考えられます。
改定案は、効率性に関する記載を充実させ、供給の安定性の改善等の競争促進効果も考慮されることを明らかにしました。このような新たな記載を受け、企業結合審査において、効率性の向上を主張する事業者が増加する可能性は高く、この分野の議論の進展が見込まれます。特に、人口減少や国際競争の激化に直面する産業では、今回の改定が大きな意味を持つ可能性があります。
もちろん、公取委が効率性の3要件やなお書きをどの程度厳格に運用するのかを見極めるには、今後の事例を待つ必要があります。とは言え、あえて効率性に関する記載を充実させたことから、少なくとも公取委は、効率性について従来よりも積極的に検討する用意はあるものとうかがわれます。当事会社側としては、企業結合による競争促進効果、つまりプラスの効果を、裏付けに基づいて積極的に説明することが重要になります。
他方で、過去に効率性が論点となった事案は少なく、ほとんどの事案は、効率性以外の判断要素が認められることによって、企業結合が認められてきました。改定案が成案となった場合でも、一足飛びに効率性に飛びつくのではなく、どの判断要素をどのように主張できるのかを、商品ごとに十分に検討し、有効な主張を根拠に基づいて展開することが、クリアランスへの近道と考えられます。
改定案は、企業結合ガイドラインの枠組みや判断基準を変更するものではありません。また、本稿で説明した改定案の変更箇所の多くは、過去の事案で既に採用されていた考え方を明文化したものであり、公取委の運用を大きく変更するものではないと考えられます。
とは言え、これまでは個別事例の中で断片的に示されていた考え方が、一般化されてガイドラインの中に明文化されることの、事実上の影響は小さくないと考えられます。公取委にとっては、個別事例の中で示した判断については、当該事例の個別事情に基づくものとして、実務上重視しないことも可能です。しかし、それがガイドラインに書き込まれれば、企業結合審査一般に適用される規範として、公取委と当事会社の共通認識が形成され、その前提で議論がスタートすることになり、当事会社にとっては主張の後押しとなります。しかも、これまでの運用を反映する趣旨で変更されたと考えられる箇所は、そのほとんどが企業結合が認められる方向の変更であることからも、改定案では、企業結合審査において事業者との対話を重視しつつ柔軟に対応しようとする公取委の姿勢が明確になっています※24。
改定案は2026年8月31日までの意見募集(パブリック・コメント)に付されており、公取委は、提出された意見を検討の上で最終的な改定を行うものと見込まれます。まずはガイドライン成案を確認の上、事例集等を通じて公取委の今後の運用を注視していく必要があります。
※2
公取委「【参考】改定概要」(2026年7月17日公表)
※3
公取委「イノベーションの促進に向けた競争政策の積極的展開」(2026年1月28日公表)
※5
独占禁止法・競争法ニュースレターNo.48/国際通商・経済安全保障ニュースレター No.34「公取委・経産省・国交省「経済安全保障と独占禁止法に関する事例集」等の公表」(2025年11月)
※6
欧州委員会「欧州企業結合ガイドライン案」(2026年4月30日公表)
※7
改定案において「商品」は役務を含みます。改定案第2冒頭。
※8
深町正徳編著「企業結合ガイドライン第2版」(2021年、商事法務)213頁。
※9
企業結合ガイドライン第4の2(7)。このなお書きに該当することを理由の一つとして効率性の向上を否定した事例として、(株)東京証券取引所グループと(株)大阪証券取引所の統合(平成24年度事例集10)。
なお、本稿において「○年度事例集△」とは、公取委公表の「主要な企業結合事例」に挙げられた各年度の企業結合事例集のうち、○年度の事例集における△番目の事例であることを意味します。
※10
「グリーン社会の実現に向けた事業者等の活動に関する独占禁止法上の考え方」(公取委令和5年3月31日公表)
※11
(株)クボタによる日本鋳鉄管(株)の新設製造子会社の株式取得(令和6年度事例集3)。ただし、この件では問題解消措置が採られました。
なお、この件における当事会社の合算市場シェアは約70%でしたが、公取委は、本文記載のなお書きに言及することなく効率性の向上を認めました。このことは、公取委が、BHPBとリオ・ティントによる鉄鉱石の生産ジョイントベンチャーの設立(平成22年度事例集1)において、当事会社の合算市場シェアが約55~60%であったところ、他の事情も考慮の上で、「独占に近い状況をもたらす」と評価し、効率性の向上を認めなかったことと対照的です。
※12
改定案第3の1(3)。
※13
企業結合ガイドライン第4の2(2)、注9。
※14
(株)リケンと日本ピストンリング(株)による共同株式移転(令和4年度事例集3)
※15
新日本製鐵(株)と住友金属工業(株)の合併(平成23年度事例集2)
※16
企業結合ガイドライン第4の2(2)①。
※17
例えば、昭和産業(株)によるサンエイ糖化(株)の株式取得(令和2年度事例集2)において、公取委は、関連事情(輸入の状況や流通上の問題の有無等)を詳細に検討した結果、関税が存在するにもかかわらず、輸入圧力を認めました。その他の事例について、前記・深町179頁。
※18
日清製粉(株)による熊本製粉(株)の株式取得(令和4年度事例集1)には、輸入圧力に関して「小麦粉に関しては(略)高水準の関税が課されているため、海外からの輸入は僅かである。したがって、輸入圧力は認められない」との簡潔な記載があります。
※19
改定案第4の2(4)イ。
※20
間接的類似品の考え方を採用した最近の事例として、前田工繊(株)による三井化学産資(株)の株式取得(令和6年度事例集1)。その他の事例について、前記・深町196頁。
※21
江戸・長崎論を採用した最近の事例として、シスメックス(株)によるシスメックスBioMajesty(株)の株式取得(令和7年度事例集2、ただし混合型企業結合の事案である。)や、(株)椿本チエインによる大同工業(株)の株式取得(令和7年度事例集4)。その他の事例について、前記・深町208頁。
※22
改定案第2冒頭、第4の1及び第5の2(2)ア(ア)。
※23
改定案第6の2(3)。
※24
前記脚注3の「イノベーションの促進に向けた競争政策の積極的展開」において、公取委は、企業結合規制を「デジタル社会の進展、グリーン社会の実現、経済安全保障等、経済社会環境の急速な変化に的確に対応するための、ステークホルダー等との対話を通じた「市場環境の整備」」に関連する施策と位置づけています。企業結合規制の運用は、本来的には独占禁止法の執行であるにもかかわらず、公取委は事業者との対立構造とは見做していないことが示されています。
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